2 薬に共通するおはなし(1):吸収(A)の応用(8)

2019年5月2日

注射薬のおはなしの続き。

今回は「時間」に関係するおはなしです。

 

注射薬は、注射器から直接体に入れるだけではありません。

ゆっくり体の中に入れる必要があるときには、

注射薬を輸液のボトル(パック)に入れることになります。

いわゆる「点滴」ですね。

もちろん、ボトルに注射薬を入れるときには、

感染予防・清潔管理が必要になります。

 

では、注射器から直接体内にいれれば、

常にすぐ薬は効くのか。

そんなことはありません。

「いれるところ」によって、

薬の効く速さは変わってきます。

「~注射」が4種類あるのは、そのためです。

 

注射の「いれるところ」の名前を確認してしまいましょう。

皮内注射、皮下注射、静脈注射、筋肉注射です。

体に入る深さが浅いほうから深いほうへと並べてあります。

体の表面付近の構造を復習しながら、

注射の種類を見ていきましょう。

 

皮内注射は、皮膚のうち表皮と真皮の間に入れるもの。

針をかなり傾けて…水平ギリギリで針を刺すイメージです。

入れる薬は体の奥へと吸収されていきません。

注射した薬は、水膨れのように一か所にとどまったままです。

 

「ん?それって意味あるの?」

 

大ありです。

免疫応答があるかどうかを確認したいのに、

体の奥まで薬液が吸収されてしまったら、

反応が起こっているかをすぐに見ることができません。

遅延型(Ⅳ型)のアレルギー反応の有無を確認する、

ツベルクリン反応に使われるのが皮内注射です。

これは結核に対する免疫の確認でしたね。

同じくアレルギー反応の有無を確認するために、

抗原液をたらしてから同じ深さまで皮膚に小さな傷をつける、

プリックテスト(スクラッチテスト)というものもありますよ。

「注射」ではありませんが、

「体の奥に吸収させない」うえで、

免疫応答を見るという点で共通していますね。

 

皮下注射は真皮の下にある皮下組織に薬液を入れる注射。

針の角度としては、三角定規の30°くらいです。

ここから奥に入れると、体の中へと吸収されていきます。

でも、皮下組織にはあまり血管は多くありません。

そのせいで、薬はじんわりしみこんでいくことになります。

ゆっくりじわじわ効いてほしい…

一般的な予防接種で使われるのが皮下注射です。

 

同様にあまり早く効くと悪影響の出る可能性がある

糖尿病のインシュリン注射も、皮下注射です。

でも、自分で注射をするのに角度まで指定されては大変ですね。

だから、糖尿病の自己注射用の針の長さは

皮下にちょうど届く長さ(短さ?)にしてあります。

これなら、患者さんが自分で簡単に注射できますね。

 

残る2つの注射は、次回おはなししますよ。