8 ヒトを取り巻く環境(2):バイオーム(4)
バイオームの水平分布、垂直分布をもう少しだけみていきますよ。
水平分布を決めるのは緯度…と聞くと一瞬戸惑うかもしれませんが、
「日本は南北に長い」といえばすぐに分かってくれるはず。
沖縄は亜熱帯雨林、
西日本の一部は照葉樹林(瀬戸内海は硬葉樹林)、
東日本は夏緑樹林で、北海道が針葉樹林です。
日本地図のイメージと森林バイオームを重ねてみてくださいね。
各バイオームの境界は、きれいには分かれません。
日本には平地だけではなく、山があるせいです。
そして山は標高(垂直分布)の話へとつながっていきます。
同じ緯度でも、高い山の上は涼しい(気温が低い)もの。
1000m上がると、約5℃気温が下がります。
気温の変化は、バイオームの変化につながりますね。
標高の低いところ(700m前後まで:丘陵帯)が
照葉樹林だったとしても、
少し上がる(1700mまでの山地帯)と
夏緑樹林が広がります。
もっと上がると亜高山帯(2600m前後)の針葉樹林になり…
ぱったりと高い木がなくなります。
これが「森林限界」。
「これ以上寒いと、森林じゃないよ。草原だよ」のサインです。
せいぜい低木が生きられるぐらいですね。
気温によって森林限界が決まりますから、
北(北海道等)ではもっと山の低いところでも森林限界になりますよ。
さて、ここで少しだけ補足。
私たちが「森林」と耳にすると、
ヒトの手が入っていない(半ば未開の)森林をイメージしがち。
これは「一次林」と呼ばれます。
一次があるということは、二次もあるということ。
二次林は火災や伐採後の遷移中の森林のことを指します。
山の中の集落の周囲には、二次林が多く見られますね。
この一次林と二次林をまとめたものが「自然林」。
日本の森林の約5割を占めます。
これに対して、ヒトの手で植えられた木による森林が「人工林」。
スギやヒノキのように、特定の樹種のみが生息しているのが特徴です。
日本の森林の約4割は、人工林ですよ。
割合の残りは竹林。
竹は草本植物と木本植物の特徴を併せ持っている特殊な植物。
木本植物(樹木)とは言い切れないので、
一般的な「森林」に含められない…ということですね。