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1 細胞と代謝:生命の最小単位(1)

生物は細胞のおはなしからスタートです。

…気付いた人もいると思いますが、

ここはかなり生化学と重なります。

しかも、高校で生物を選択してきた人にとっては

「暇な時間…」になりがちなところです。

そんな人は、どんどん読み流していきましょう。

でも、化学パートとの対比等「お?初耳!」と思ったら、

ちゃんと立ち止まってくださいね!

 

当然の前提ですがここでの生物のおはなしは

看護師を目指す以上「ヒトを理解する」ためのものです。

「高校生が大学受験のために!」には役に立ちませんよ。

時間の無駄になる前に、目的に合ったところに移動してくださいね。

 

細胞は生命(生物)の基本となる単位です。

基本単位なので、それ1個で生きていくこともできます。

それが「単細胞生物」。

もちろん、基本単位をたくさん集めて生きていくことだって可能。

こちらは「多細胞生物」ですね。

私たち「ヒト」は多細胞生物です。

 

高校生物なら、

ここから「生物の多様性」「生態系と系統樹」などが始まるところですが…

ここでは省略。

「ヒト」(とその栄養物となるものの)細胞に限定したおはなしです。

 

単細胞生物も、さらに核の有無で分けられます。

核があれば真核生物。

核がないと原核生物。

両者を分ける核の話は、もう少し後で出てきます。

覚えておくことは「ヒトは多細胞生物で真核生物」。

そのうえで…なぜ「多細胞生物なのか」を考えてみましょう。

 

いろいろと思いつくことがあるはずです。

 

例えば、1つしか細胞がなかったら、自分の体の重さは大問題です。

水中ならまだしも、

空中や陸上では細胞を大きくすることと自重の関係を無視できません。

自重に耐えられても、

そのせいで動きが悪くなっては食べられてしまい本末転倒。

子孫を残すためには何としてもクリアーしたい条件です。

 

そこで、多細胞生物は「細胞間の役割分担」をすることにしました。

体を支え、動かすことに特化した細胞があれば、

自重に耐え、活発な動きを維持できます。

表面を覆うことに特化した細胞があれば、

陸上の乾燥も怖くないし、栄養吸収効率もよくできます。

指揮・命令に特化した細胞があれば、

他の細胞は個別判断をする必要なく、本業に専念できるようになります。

このような細胞間の仕事分担が、

組織や器官のはなしにつながっていくのです。

多細胞生物である以上、

「役割分担を意識する」必要があるのはこのためです。

この辺りについては、後で章を改めて紹介しますね。

 

次回は、細胞内の役割分担。

細胞小器官(オルガネラ)のおはなしを始めましょう。