9 ヒトを取り巻く環境(3):生態系(1)
生物はいろいろなものに囲まれています。
植物が生きるためには
光、水(降水量)、温度(気温)、土壌が必要でしたね。
また光合成のためには光だけでなく、
二酸化炭素も必要ですから「大気(空気)」だって必要です。
今確認したものは生きているのものではありませんから、
「非生物的環境」と呼びます。
生物と、それをとりかこむ非生物的環境をまとめたものが「生態系」。
大きなもの(地球全て)から小さなもの(公園の池)まで、
全部生態系です。
そして生物と非生物的環境は、
お互いに「影響を与え合う」関係にあります。
例えば、
雨緑樹林は降水量が増える(雨季になる)と葉を茂らせます。
これは非生物的環境(水:降水量)が、
生物(木本植物)に与える影響です。
これを「作用」と呼びます。
逆に雨緑樹林の葉が茂ると、
その林床に差し込む光の量が減ります。
これは生物(木本植物)が、
非生物的環境(林床の光量)に与える影響。
こちらは「環境形成作用」ですよ。
とりあえず、植物と非生物的環境で
お互いの関係性はイメージできましたね。
では、続いて生物同士の関係性を見ていくことにしましょう。
生態系の生物は、生産者と消費者に分けることができます。
この区別は植物と動物の区別と重なりますね。
無機物(水や二酸化炭素)から有機物(グルコースなど)を
作れるのが「生産者」。
生産者(や生産者が合成した有機物)を食べる必要があるのが
「消費者」です。
ちょっと補足しておくと、光合成ができなくても
無機物から有機物を作れれば立派な生産者です。
例えば化学合成細菌は(光エネルギーではなく)
熱エネルギーをもとにして無機物から有機物を作れます。
だから「生産者」ですよ。
また、消費者の中でも生物由来の有機物を
無機物に分解する生物を「分解者」と呼びます。
枯れた葉を腐植層に変えてくれるのがこの分解者。
細菌や菌類の一部がここにあたります。
そして分解者以外の消費者にも
「食う-食われる」の関係がありますね。
草食動物のシマウマが肉食動物のライオンに食べられる例を
イメージできるはずです。
このような「食う-食われる」関係が鎖のようにつながることを
「食物連鎖」といいます。
関係が1本の線ではなく、
網目のようになる(複数の生物が関係してくる)と、
「食物網」になりますよ。