7 反応速度・触媒:体の中の化学反応(4)
使い捨てカイロの中には、
鉄と水と触媒と酸素がありましたね。
成分表示を見てみましょう。
「活性炭」「バーミキュライト」「~塩」の文字が見つかるはずです。
「~塩」が触媒でした。
のこり2つについてのおはなしです。
「活性炭」は炭(すみ)。
冷蔵庫等の脱臭材に使われる、あれですね。
でも、なぜ炭に脱臭効果があるか考えたことはありますか?
匂い(臭い)は、揮発成分。
気体になって鼻の粘膜に届くから、匂いが分かるのです。
だから鼻の粘膜に届かないように、
何かにくっついてしまえば匂わなくなります。
そこで炭の小さな凸凹の出番。
炭にはごく小さな穴(微孔)が開いています。
炭が軽いのは穴だらけだから。
穴が開いているということは、それだけ表面積が広がるということ。
栄養を吸収するところの小腸上皮細胞も表面積を増やすために
絨毛で凸凹を増やしています。
炭も内側に向けた凸凹(微孔)があるため、
見た目以上の表面積があります。
炭の表面に匂い成分が付くと、「吸着(吸いつけられること)」します。
これは微孔の毛管現象のせいです。
ティッシュペーパーに水がしみ込んでいくのと同じ原理です。
吸いつけられてしまったら、もう気体として飛んでいけません。
鼻の粘膜に届かなくなるので、「匂いがなくなる」のです。
同じように微孔だらけなのがバーミキュライト。
鉱物の一種ですが、化学式は複雑すぎるので省略。
園芸用の土としてホームセンターに並んでいるはずです。
こちらも内側に向けて凸凹がたくさんあります。
そこに入っているのは水。
水は凹んだところに入っているため、
触っても水っぽさは感じません。
使い捨てカイロの内側に水があっても、
水っぽく感じないのはこのためです。
これで使い捨てカイロの中に鉄と水と触媒と酸素がそろいました。
あとは振ることで、鉄とくっつく酸素と水を増やせば
触媒の働きで反応が進んで、熱が出ます。
一度熱が出れば、反応速度はどんどん上がりますね。
カイロが温かくなるのは、このためです。
反応が終わってしまったら、
鉄は酸化鉄になってしまい元には戻りません。
いくら酸素と水分があっても、もう温かくなりません。
でも、別な形の再利用はできますよ。
カイロの袋の中身には
微孔たっぷりの活性炭とバーミキュライトがいましたね。
脱臭・湿気取りとしてリサイクルしてあげましょう。
微孔に水分が入れば湿気取り、
揮発性の匂い成分が入れば脱臭。
冬に使った使い捨てカイロは、
雪国ならそのまま収納の湿気取りのお手伝いです。
それ以外の地域なら、梅雨の湿気取りに使えますね。
使い捨てカイロで温まり、
化学の勉強(酸化反応は熱が出る…)をした後は、
捨てる前に第二の人生(?)をおくらせてあげてくださいね。