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8 各論3:体温(消化器系):小腸・大腸(2)大腸(3:下痢と便秘5)

2023年3月18日

便秘の解消法、腸管刺激はどうするか。

副交感神経系をただ刺激するだけでは、

血圧はじめ全身に影響が出てしまいますね。

だから、物理的に腸管を刺激してみましょう。

 

例えば、二酸化炭素を大腸で発生させる

「炭酸水素ナトリウム・

無水リン酸二水素ナトリウム(レシカルボン)」坐薬。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00010532

…ここで化学式を出すと頭が痛くなるので、省略。

「坐薬が溶けたら二酸化炭素が出る!

その気体の圧力で結腸を刺激する!」

これで十分です。

坐薬を肛門に入れないと意味がない理由、

例えADME(吸収・分布・代謝・排泄)を学ぶ前でも

これならすぐに分かりますよね。

 

気体ではなく、液体で刺激する方法もありますよ。

ヒマシ油を紹介します。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00005191

サラダ油、オリーブオイルと同じ、液体の油(脂質)です。

体内で脂質分解酵素リパーゼに分解されて、

グリセリンとリシノール酸に分かれます。

ここ、生化学の脂質代謝の復習そのものですね。

ここでできた「リシノール酸」が、腸を刺激してくれるのです。

便秘の解消だけでなく、食中毒時の内容物排除、

腸管の手術や検査前にも使われますね。

 

禁忌は急性腹症とけいれん性便秘。

急性腹症による下痢は原因究明が第一。

刺激が多すぎて腸管全体としてまとまって収縮できていない

けいれんによる便の滞留時に、

更なる刺激が加わってしまっては手が付けられません。

また、あまりに便が硬くなった重症硬結便には

そもそも効かないため禁忌ですね。

 

あと、脂溶性の薬や毒物吸収を促進してしまうため

これも禁忌になります。

ナフタレンは殺虫剤、

リン(燐)は農薬やマッチ、

殺鼠剤(ネズミ駆除剤)に含まれていますね。

ヘノポジ油というのは、線虫や鈎虫といった寄生虫の駆虫剤。

メンマというのは生薬の綿馬根(めんまこん)のことで

条虫(サナダムシ)の駆虫剤です。

この辺りは微生物学の「寄生虫」で確認してくださいね。

 

もう1つ注意が必要なのが、使用上の注意のところにある

妊娠・妊娠可能性のある人、授乳中の人。

子宮収縮を誘発して、流早産の可能性があります。

また母乳に移行して、乳児に下痢が出てしまいますよ。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20230318更新)