8 各論3:体温(消化器系):小腸・大腸(2)大腸(3:下痢と便秘5)
便秘の解消法、腸管刺激はどうするか。
副交感神経系をただ刺激するだけでは、
血圧はじめ全身に影響が出てしまいますね。
だから、物理的に腸管を刺激してみましょう。
例えば、二酸化炭素を大腸で発生させる
「炭酸水素ナトリウム・
無水リン酸二水素ナトリウム(レシカルボン)」坐薬。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00010532
…ここで化学式を出すと頭が痛くなるので、省略。
「坐薬が溶けたら二酸化炭素が出る!
その気体の圧力で結腸を刺激する!」
これで十分です。
坐薬を肛門に入れないと意味がない理由、
例えADME(吸収・分布・代謝・排泄)を学ぶ前でも
これならすぐに分かりますよね。
気体ではなく、液体で刺激する方法もありますよ。
ヒマシ油を紹介します。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00005191
サラダ油、オリーブオイルと同じ、液体の油(脂質)です。
体内で脂質分解酵素リパーゼに分解されて、
グリセリンとリシノール酸に分かれます。
ここ、生化学の脂質代謝の復習そのものですね。
ここでできた「リシノール酸」が、腸を刺激してくれるのです。
便秘の解消だけでなく、食中毒時の内容物排除、
腸管の手術や検査前にも使われますね。
禁忌は急性腹症とけいれん性便秘。
急性腹症による下痢は原因究明が第一。
刺激が多すぎて腸管全体としてまとまって収縮できていない
けいれんによる便の滞留時に、
更なる刺激が加わってしまっては手が付けられません。
また、あまりに便が硬くなった重症硬結便には
そもそも効かないため禁忌ですね。
あと、脂溶性の薬や毒物吸収を促進してしまうため
これも禁忌になります。
ナフタレンは殺虫剤、
リン(燐)は農薬やマッチ、
殺鼠剤(ネズミ駆除剤)に含まれていますね。
ヘノポジ油というのは、線虫や鈎虫といった寄生虫の駆虫剤。
メンマというのは生薬の綿馬根(めんまこん)のことで
条虫(サナダムシ)の駆虫剤です。
この辺りは微生物学の「寄生虫」で確認してくださいね。
もう1つ注意が必要なのが、使用上の注意のところにある
妊娠・妊娠可能性のある人、授乳中の人。
子宮収縮を誘発して、流早産の可能性があります。
また母乳に移行して、乳児に下痢が出てしまいますよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230318更新)