5 脳神経系と内分泌系のおはなし(23)
脊髄補足と、デルマトーム・ミオトームのおはなしです。
デルマトームというのは、
1本の脊髄神経から伸びている感覚神経支配領域のこと。
要するに、
体のどの部分を1本の神経がカバーしているかの感覚編。
ミオトームは、運動神経支配領域のこと。
こちらは1本の神経カバーの運動(筋肉)編です。
脊髄のどこが担当しているのかを理解しておくと、
スノーボード転倒等で怖い「脊髄損傷」で、
どこがおかしくなるかが分かります。
全体の説明を始める前に、大事なところを注目。
呼吸筋(横隔膜)担当は、頸髄4番(C4)。
だから頸髄4番より上(~頸髄3番)で脊髄損傷してしまうと、
自発呼吸困難で、人工呼吸器のお世話になります。
あと、骨粗鬆症の圧迫骨折で多いのは腰髄1番(L1)。
ここは腰の感覚・筋肉を担当しているところ。
骨粗鬆症が腰痛から発覚することが多いのはこのためです。
それでは改めてデルマトーム・ミオトームの確認。
背骨(椎骨)は、
上から頸椎、胸椎、腰椎、仙椎と分けられます。
背骨の中に、脊髄が入っていますね。
脊髄から出た神経がどこをカバーするか…というときに
名前を付けないと区別しにくいので。
背骨(椎骨)に番号を振り、
中に入っている脊髄から出た神経の担当領域を
アルファベット1文字と数字で表します。
7つの頸椎(C)に対応した頚髄は8個(C1~C8)、
12個の胸椎(T)に対応した胸髄は12個(T1~T12)、
5個の腰椎(L)に対応した腰髄は5個(L1~L5)、
1つの仙椎(S)に対応した仙髄は5個(S1~S5)です。
それぞれ、背骨(椎骨)の対応するところの脊髄から
その領域の皮膚・筋肉の情報を担当する神経が
出ていると思ってください。
頸髄1番(C1)は、
皮膚感覚のデルマトーム上はどこにも見当たりません。
これは皮膚に神経の枝が出ていないから。
筋肉担当のミオトームをさがすと、
後頭部にC1の担当領域がありますよ。
あとはC2が顔面、C3が首上部、
C4が首下部、C5が鎖骨付近と上腕の一部、
C6が肩甲骨上部から上腕・前腕・親指と人差し指、
C7が肩甲骨中央部から上腕・前腕・中指、
C8が肩甲骨下部から上腕・前腕・薬指と小指です。
先程確認した
C4とC5、呼吸筋との対応を意識しておきましょう。
あと、脊髄は損傷してしまうと
その下はコントロール不能になってしまいます。
だから「C4やC5じゃないぞ!C3損傷なら呼吸は大丈夫!」と
思ってはいけません。
胸髄(T)はT1が上腕・前腕も担当していることを除けば、
胴体上部を横縞のシャツのようにカバーしています。
お腹側(前)のほうが
背中側(後)より下がり気味になっています。
腰髄(L)はL1が骨盤全体。
L2は上太ももから骨盤の後ろ側、
L3が骨盤下から内太もも、内ふくらはぎ。
L4は太もも・膝・足親指、
L5が膝の外側・足の人差し指から薬指と足の裏です。
仙髄(S)は背中側。
S1が骨盤の背中側から臀部・ふくらはぎ・足小指。
S2は臀部・内太もも・足首、S3は臀部中央付近から内側、
S4が肛門周囲で、S5が肛門です。
…なんだか、完全横水平面にならないせいか
分かりにくいなぁ…。
確かにそうですね。
でも、それは動物の進化の過程を考えてみればわかります。
他の動物のように、四つん這いになってましょう。
この姿勢なら、頚髄支配が頭から前脚まで。
胸髄支配が前脚少し後ろと胴、
腰髄支配が後脚前側で、仙髄支配が後脚後側。
イメージ、しやすくなりましたね。
デルマトーム・ミオトームの対応で困ったら「四つん這い」に!
あとは呼吸筋担当と腰髄1番も思い出してあげてください。
次回は情報の交差をおはなしして、
内分泌に入る準備をしましょう。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220923更新)