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8 脂質代謝のおはなし(3)

2022年5月2日

忘れないうちに、

リポタンパク球のおはなしをしておきましょう。

前回出てきたときは、

名前と大きさの確認をしましたね。

今回は、働きも頭に入れてください。

キロミクロンは前回も出てきましたね。

小腸上皮で吸収した中性脂肪を運ぶ役割でした。

血管ではなく、リンパ管に入る話もしましたね。

VLDL(超低密度リポタンパク質)は、

肝臓で合成した後の中性脂肪を運ぶ役割。

大きいほう2つは

「中性脂肪(TG:トリグリセリド)」を、

「肝臓」へ、

もしくは「肝臓」から運ぶところがポイントです。

 

LDLとHDLの運ぶものは、

肝臓で作り直した後のコレステロールです。

LDL(低密度リポタンパク質)は末梢細胞…

つまり全身の細胞へとコレステロール

運んでいく働きがあります。

コレステロールは、敵ではありませんでしたよね。

細胞膜を構成する、大事な膜成分です。

HDL(高密度リポタンパク質)は、

末梢細胞から古くなった

コレステロールを引き抜いて肝臓に戻ります。

肝臓で、また別な脂質に作り替えるためです。

小さいほう2つは、

末梢細胞へ、もしくは末梢細胞から

「コレステロール」を運ぶことがポイントですね。

 

このように、4つあるリポタンパク質ですが…

大きいほう2つと小さいほう2つに分け、

何を・どこに運ぶのか意識すると理解しやすくなります。

 

あれ…?

コレステロールが細胞膜の成分で

悪い奴じゃないってことは、

実はLDLも悪い奴じゃないのかな…?

 

はい、よく気付いてくれました。

血液中の脂質成分の正常値(基準値)を見ると、

LDLには上限も下限もあります。

悪玉コレステロールなんて呼ばれることもあるLDLですが、

少なすぎれば細胞膜に必要なコレステロールが届きません。

つまり、多すぎはよくないけど、少なすぎもよくないのです。

これを書いている現在(2018、4月)、

70~139㎎/㎗がLDLの基準値です。

同様に、HDLにも上限がありますよ。

善玉コレステロールと呼ばれるHDLだって、

多すぎれば引き抜かれていくコレステロールが多すぎて、

これまたよろしくないのです。

40~80(女性では40~90)mg/㎗がHDLの基準値ですね。

ちなみに、

巷(ちまた)で悪者にされがちなコレステロールだって、

少なすぎると病気判定されてしまいますよ。

何事も適正適度が一番。

リポタンパク質も、また然り…なのです。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20220502更新)