3 循環器系のおはなし(12)

血管系についての説明が一段落したので、

めぐる場所の一部「リンパ系」のおはなしです。

 

まず、リンパ系というのは血管と違い

「管」が全身をぐるりと取り巻いているものではありません。

教科書等の図を見ると、体の中心部に太い管やふくらみはありますが、

後は細い線のような管が途中で切れてしまっています。

「…ごちゃごちゃしてて、しかもよくわからないなぁ…」

実は、その感想でいいのです。

だって、リンパ系の役割の1つは「側溝」のようなものですからね。

 

側溝は、普段は単なる「道路端の凹み(へこみ)」でしかありません。

「ここを水分が通るんだよ」といわれても、

反応は「へぇ…」ぐらいであまり実感が沸かないものです。

でも大雨が降ったときに、周囲が水浸しにならないように

側溝に勢いよく水が流れていくところを見ると「わっ!本当だ!」となります。

リンパ系も同じことです。

 

普段、細胞の周り(組織)が通常水分量ならリンパ系は目立ちません。

細胞に栄養や酸素を届けるために毛細血管から血漿が染み出し、

組織液になります。

組織液は細胞から不要物や二酸化炭素を受け取って、

毛細血管内に帰っていきます。

リンパ系の出る幕、ありません。

でも細胞の周りに水分があふれているときには、

細胞が圧迫されないようにリンパ系のほうへ水が流れていきます。

最終的にはリンパ系は左鎖骨下静脈で血管と合流します。

あとは腎臓で尿にして体の外に出してしまえばいいですね。

リンパ系と血管系の合流地点は他にもありますが、

まずは「左鎖骨下静脈」を覚えてくださいね。

 

リンパ系の役割は余剰水分排出だけではありません。

脂質輸送と身体防御にも一役買っていますよ。

 

脂質は小腸の上皮細胞で吸収された後、

大部分はキロミクロンの中に入りましたね。

キロミクロンは生化学の「8 脂質代謝」で出てきた

リポタンパク球の一番大きいものでしたよね。

「大きい」ということは、細い血管は通れません。

肝臓に運ぼうとして、門脈前後の毛細血管で詰まったら一大事です。

だから、キロミクロンはリンパ系に入って流れていきましたよね。

これが本によってはリンパのことを「乳糜(にゅうび)」と書いてある理由です。

キロミクロン(と脂質)が水中に受かんでいると、

乳白色の半透明に見えます。

「糜」とはお粥のこと。

乳白色のお粥状なので、乳糜です。

 

身体防御には、リンパ系の管の中にいるリンパ球が働いています。

側溝には落ち葉等が入ることもあります。

そのまま放っておくと大雨の日に詰まりやあふれの原因になりますから、

定期的にさらって掃除しておく必要がありますね。

リンパ系も同じ。

細胞のところから流れてきた水分の中に細菌等の異物があったら、

所々で異物を「処理」する必要があります。

その場所が所々膨らんでいる「リンパ節」

処理(お掃除)してくれるリンパ球が一斉に集まって、

異物処理を頑張ると…「リンパ節が腫れる」ですね。

 

リンパ球は血液の成分、血球のうち白血球の1種でした。

次回、生化学「12 血液と免疫」を簡単に復習していきましょう。