3 気体と三相(6):肺と酸素ボンベの基礎
看護の世界では、圧力を示す単位がいくつか出てきます。
前回の血圧に使う「mmHg」はその1つ。
あとは酸素ボンベの「kgf/cm²」「MPa」です。
以前は「気圧」もありましたが、
近年は「kgf/cm²」と「MPa」に統一されています。
最初に大事なこと。
実は、酸素ボンベの計算をするときに単位の内容を理解する必要はありません。
大事なことは「あ!気体の圧力の単位だ!」と気付くこと。
あとは、比例の式を立てるだけですよ。
「数字なんか怖くない!」でも使った問題ですが、
看護師国家試験の問題を解いてみましょう。
「酸素500ℓ、150kgf/cm²が酸素ボンベの初期状態です。
少し酸素ボンベを使いました。
ボンベについていた圧力計は、
使用後に90kgf/cm²を指していたとしましょう。
使用後の酸素ボンベには、酸素が何ℓ残っていますか?」
…体積と圧力と温度の式を使いたくなりますが…ちょっと待って!
初期状態と使った後では、
ボンベの中に残っている酸素の粒の数(モル数)が変わっていますよ!
だから、ここで使う式は「比例の式」です。
比例の式というのは、
等号(=)の両側に同じものを同じ方において、
「〇:●」の形で示したものです。
〇のときに△、●のときに▲という関係があれば、
「〇:●=△:▲」という式ですね。
では早速先程の問題を比例の式にしてみましょう。
初期状態では500ℓの酸素が入っていて、
酸素の粒が周囲を押す力(ボンベ内圧力)は150kgf/cm²でした。
これが「〇のときに△」ですね。
使用後は『酸素残量(ℓ)』の酸素が入っていて、
酸素の粒が周囲を押す力(ボンベ内圧力)は90kgf/cm²です。
これが「●のときに▲」です。
だから比例の式は、
「500(ℓ):150kgf/cm²=酸素残量(ℓ):90kgf/cm²」ですね。
式ができたら、解いて答えを出してみましょう。
比例の式の解き方は、
「外側どうし、内側どうしを掛け合わせる」でオーケーです。
だから先程の式は
酸素残量(ℓ)×150kgf/cm²=500ℓ×90kgf/cm² になります。
あとは両辺を150kgf/cm²で割ってみましょう。
酸素残量(ℓ)=500ℓ×90kgf/cm²÷150kgf/cm² ですね。
右辺は計算すると300(ℓ)になります。
だから、酸素残量(ℓ)=300(ℓ)が答え!
これで皆さんは、
看護師国家試験の計算問題の1つを解けるようになりました!
ちなみに、同じく看護師国家試験計算問題のもう1つも比例の式で解けますよ。
それが点滴(輸液)計算。
気体の話から外れてしまうのでここではおはなししませんが、
単位を付けた比例の式を作れれば難しいことはありません。
比例の式は簡単・便利なので、
早く自由に使えるようになりましょうね!