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4 固体と液体・溶解(1):浸透圧とぎゅうぎゅうすかすか液体版

前回までで気体のおはなし一段落。

ここからは固体と液体のおはなしに入りましょう。

「溶ける(溶解)」に注目したおはなしでもありますよ。

 

まず固体は固まりで、液体は流れるもの。

これはいいですよね。

この2つの違いは、粒の動き方の違い。

温度によって固体と液体は「相変化」しますよ。

分かりやすくいきましょう。

「水は0℃まで冷やされると氷になる、氷は0℃より温めると水になる」です。

…でも、氷点下でも凍らない液体もありますよね。

それ、希薄溶液の特性のせいです。

 

まず、希薄というのは「すごく薄い」という意味。

「溶液」というのは、溶媒に溶質が溶けた状態。

ようするに「水に砂糖が溶けた砂糖水」が、溶液です。

溶けている砂糖が「適度な少なさ」なら、希薄溶液完成です。

具体的に「どれくらいの薄さなら希薄溶液か」と定められていないので

ちょっとすっきりしないのですが…。

何かが溶けていることに気付いたら

「もしかして、希薄溶液?」と疑ってみてくれるといいと思います。

 

そんな希薄溶液の特性は

「凝固点降下」「沸点上昇」「蒸気圧降下」です。

こちらも具体例で。

具体例その1「凝固点降下」

氷に塩を入れてかき混ぜると、0℃以下の水の部分ができます。

氷(水の固体)が溶けた(液体になった)ところに塩が混ざり、

食塩水ができます。

その食塩水は周りの氷によって0℃以下に冷やされても、

氷(固体)になりません。

凝固(液体が固体になる)する点(温度)が下がったので、「凝固点降下」です。

実際に海水は凍りにくいということは、

北極海に「水の部分がある」ことからも分かりますよね。

同じ原理で、北の大地でもエンジンオイルが凍らないように

車に必要なのが不凍液(エチレングリコール水溶液)です。

 

具体例その2「沸点上昇」

プリンに欠かせないカラメルは

砂糖と少量の水を混ぜて、120℃以上まで加熱して作るものです。

黒くぼそぼその状態にしてしまうと、

もう水分のないただの炭化物(炭)になってしまいますが。

そこまでは「砂糖水溶液」として存在しているということです。

これが「沸点上昇」ですね。

 

具体例その3「蒸気圧降下」

海やプールのあとでぬれた布は、普段の洗濯物より乾きにくいものですね。

これ、希薄溶液の蒸気圧降下のせいです。

布が乾くということは、布の水分が気体になること。

気体になるということは、

液体の表面を押している大気圧に押し勝って粒が空気中に飛び出すことでした。

大気圧に勝って気体になる力が、蒸気圧です。

蒸気圧が下がると、

今までと同じ温度では大気圧を押し返して気体になれません。

…気体になれないから、いつまでも液体のまま。

だから希薄溶液は「乾かない!」になるのです。

なお、生乾きの匂いは微生物の活動によるもの。

微生物は水分がないと活動できませんから、

臭い防止のためにもレジャーの後はちゃんと水洗いをしてから乾かしましょう!

 

…何の役に立つのかって?

 

次回おはなしする、人体内の水分「血液」の理解に役立ちますよ!