6 燃焼熱:化学反応と酸化のおはなし(3)
「1モルのグルコースを完全に酸化させると、
水と二酸化炭素と熱が出る。
化学記号と矢印で表すと:
C₆H₁₂O₆+6O₂→6CO₂+6H₂O+(熱)」
この式に熱を入れて、完成させると…!
C₆H₁₂O₆+6O₂=6CO₂+6H₂O+2820kJ になります。
このように、熱の出入りまで目を向けた式は
「熱化学方程式」と言います。
この式の言っていることを、ちょっと翻訳してみますよ。
「小腸からグルコース1モル(180g)を吸収して、
肺から酸素6モル(標準状態なら22.4ℓ×6=134.4ℓ)を
体内に取り入れた。
全部酸素とグルコースを反応させると、
2820kJの熱ができるぞ!
水が6モル(18g×6=108g)、
二酸化炭素も6モル(標準状態なら22.4ℓ×6=134.4ℓ)できるな。
水は腎臓で尿にして、
二酸化炭素は肺から体の外に出そう。
エネルギー(熱)の半分以上は、
基礎代謝にまわして体温維持しないと!」
…味気なかった1行の熱化学方程式が、
親しみやすい存在になったのでは?
この反応で出てくるのは二酸化炭素と熱だけではありません。
水も出てくることがポイントです。
この水は「代謝水」といって、
後々「人体に出入りする水の総量」を確認するときに大事になります。
あとは熱化学方程式になると、
中央の矢印(→)が等号(=)になることもお忘れなく!
kJ(キロジュール)という単位が出てきました。
結論を言うと、1カロリー(cal)=4.184ジュール(J)。
1キロカロリー(kacl)は、4184ジュール(J)ですね。
先程確認した
グルコース1モルから出るエネルギーは2820Jでしたから、
約678kcalです。
熱化学方程式で確認したエネルギー全てが熱になるわけではありません。
全身の筋肉を収縮させるにも、
脳はじめ神経細胞が情報伝達するにもエネルギーが必要です。
だから、ヒトが生きるためにはとても多くのエネルギーが必要。
基礎代謝の半分近くは体温維持のためのエネルギー、
残りは各種恒常性維持のために必要…。
ここまで分かってくれれば、上々です!
次回は細胞の代謝とヒトレベルの代謝を
もう少しつないでいくことにしましょう。
生物でおなじみの「グルコース1モルから36ATP」から
考えていくことにしますよ。