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6 各論1:脈・血圧(心臓):心筋梗塞・狭心症(2)血管拡張薬(4)

2022年12月14日

β1選択性はなく、

β受容体ならばどちらでも遮断する薬が

プロプラノロール塩酸塩(インデラル)です。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00062639

心筋の収縮を穏やかにします(β1受容体遮断)ので、

血圧は下がりますが…。

β2も見境なく遮断(ブロック)してしまいます。

だからα1選択遮断薬の禁忌に加えて、

気管支喘息・気管支けいれんの恐れある人にも禁忌です。

β2ブロックのせいで、気管支が狭まるせいですね。

副作用として

呼吸困難や喘鳴(ぜいめい)が出ることもありますよ。

喘鳴というとイメージしにくいかもしれませんが、

息苦しいときの

「ひゅーひゅー」「ゼーゼー」だと言い換えれば

どんな状況か分かりますよね。

 

あと、相互作用が出ると分かっている薬と一緒のときには

注意が必要です。

分解酵素が同じタガメット(「ガスター」と名が付くもの)と

一緒に飲むと、

インデラルが強く効きすぎる可能性があります。

薬ではありませんが、

タバコはインデラルの効きを弱めてしまいますよ。

禁忌になる薬は、片頭痛薬の一部と

向精神薬

(精神活動に何らかの薬の影響を与える薬の総称)の一部です。

 

…狭心症のお薬として忘れてはいけないのが

ニトログリセリン(ミリスロール)に代表される硝酸薬ですね。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059026

初回通過効果を避けたいので

舌下錠で吸収するおはなしをした薬です。

硝酸薬も、末梢血管を広げる薬。

その働きは、

もう少し先でおはなしする強心薬とも関係が深いですよ。

 

先程カルシウム拮抗薬のところで

細胞膜電位について復習できましたね。

ここでは、

筋収縮とアクチン・ミオシンについて復習しましょう。

 

筋肉が動く(筋収縮できる)のは、

アクチンタンパクとミオシンタンパクがあるから。

アクチンタンパクのしめ縄上の溝に、

ミオシンタンパクの2つある頭部がはまりこんで、

ねじり込むように動きます。

この「ねじ込む」うごきがアクチンの上を滑走している…

ということで「滑走説(滑り込み説)」と呼ばれますね。

じゃあ、この「動き」は何によるものかというと。

筋肉細胞の中にある小胞体(筋小胞体)の中に詰まっている

カルシウムイオンのせいです。

電気刺激(収縮命令)が来ると、

筋小胞体からカルシウムイオンが放出されます。

カルシウムイオンを受け取ったミオシンの頭が動いて、

筋節

(向かい合った1列のアクチンの端から端:Z膜間ともいう)

距離が縮まります。

これが筋収縮。

電気刺激(収縮命令)が来なくなると、

カルシウムイオンは能動輸送で筋小胞体へと回収されて、

アクチンとミオシンはもとの位置に戻ります。

これが筋弛緩ですね。

 

だから同じ電気刺激が来たとき、

細胞(の筋小胞体)の中にカルシウムイオンが増えれば、

しっかりと収縮できることになります。

硝酸薬は、細胞内のカルシウムイオンを減らすので、

収縮の度合いが弱まる(筋収縮が弱くなる)ことで、

血管拡張+心筋収縮緩和の結果…血圧が下がるのです。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20221214更新)