13 各論7:ウイルス(1)DNAウイルス(6)
(D)ヒトヘルペスウイルス6B型、7型
続いて突発性発疹の原因になるヒトヘルペスウイルス6B型と7型。
乳幼児に3日ほど熱が出た後、
熱が下がると全身に赤い斑点(発疹)が出てきます。
ちょうどお母さんからもらった免疫(Ig-G)が
なくなってくるころ(生後4~5か月)の
「最初の病気」になりやすいですね。
(E)ヘルペスウイルス8型
お次はヘルペスウイルス8型。
カポジ肉腫に代表される悪性腫瘍(がん)の原因の1つです。
日本では後天性免疫不全症候群(AIDS)の
(主に男性での診断指標として)
「エイズ関連カポジ肉腫」の名で知られていますが、
単なる風土病として存在する地域もあります。
「カポジ肉腫は後天性免疫不全症候群で出ることが多いけど、
『カポジ肉腫が出たら、
常に後天性免疫不全症候群』ではありません」からね。
(F)EBウイルス
続いてEBウイルスのおはなしに入ります。
おそらく、
みなさんも初感染が終わっているありふれたウイルスの1つ。
ウイルスが排出されている唾液が主な感染源で、
小児期に初感染をして、無症候性で済む人が大多数です。
日本人の90%以上が感染済みと言われています。
でも、思春期以降に感染すると無症候性で済むのは約半分。
残りの約半分は発熱、咽頭痛、頚部リンパ節腫脹、脾臓腫大を起こす
伝染性単核球症になってしまいます。
唾液(キス)で感染するので「キス病」とも言われます。
感染しても、ヘルペスウイルスグループにしては珍しく、
その後に悪さをすることは少ないのですが…。
悪さをすると、胃がん・上咽頭がんの一部と、
バーキットリンパ腫の原因になってしまいます。
こうなってしまうと、悪性腫瘍(がん)に応じた治療が必要ですね。
なお、似た名前のBウイルスもヘルペスウイルスグループ。
サルの噛み傷からヒトに感染すると、Bウイルス病の原因です。
水疱から脳脊髄炎を起こし、約70%が命を落とす危険な病気ですが、
日本での発症はありません。
だから感染症法4類感染症として、水際でブロックですね。
ちなみにEBウイルスの名前は発見者由来、
Bウイルスの名前は患者名由来なので、
この2つに直接関係はありませんよ。