4 行政・制度:(3)欠点の改良(2)[補足11]
「…75歳以上は、自己負担ゼロ?」
それでは、公的医療保険に対する負担軽減策として不十分。
国がもっと積極的に財政介入する必要があったので、
新しい公的医療保険制度を作ることにしました。
それがこの法律(高齢者の医療確保に関する法律)のメインになる、
「後期高齢者医療制度」です。
後期高齢者医療制度の被保険者は75歳以上の人。
65歳以上75歳未満の「一定の障害があると認められた人」も被保険者です。
75歳になると国民健康保険から後期高齢者医療制度に
強制的に切り替わることになります。
これで国民健康保険の支出問題、ひとまず一段落です。
保険者は「各公的医療保険の保険者」。
今まで勉強してきたところの復習ですね。
健康保険法の全国健康保険協会、健康保険総会。
国民健康保険法の市町村、特別区。
国家公務員共済組合法・地方公務員共済組合法の共済組合や、
私立学校教職員共済法による日本私立学校振興・共済事業団なども含みます。
こんなに保険者が多いと、まとめる人が必要ですね。
だから後期高齢者医療制度の運営主体として、
「後期高齢者広域医療連合」という組織を作りました。
都道府県単位で、全市町村が加入する組織ですよ。
後期高齢者医療制度の収入(財源)は、
「公費」が半分、「保険料」が残り半分。
公費を出すのは国と地方公共団体(都道府県・市町村)ですね。
保険料は…いくら後期高齢者の人数が多いとはいえ、
それだけでは全体の11%ほどにしかなりません。
50%にするための「残り39%」は、
現役世代の支払った保険料ストックから支払われるお金
(後期高齢者交付金)になります。
そして、後期高齢者が医療機関を受診したら1割負担。
収入が現役世代と同じくらいある人は、こちらも3割負担です。
現時点(2019年11月)での後期高齢者医療制度についておはなししました。
これらの(前期も含めた)高齢者医療制度は、
今後の改正で変わっていく可能性があります。
受療行動と医療費負担の視点から、
自己負担割合が現役世代と変わらぬ「3割」になるかもしれません。
日頃から医療・健康に関するニュースには注意しておきましょうね。