2 性感染症(STD)のおはなし(2)
風疹(R:rubella)は、
2018年12月現在、ちょうど話題になっているウイルスですね。
まず、何が起こるかをおはなしします。
普通の免疫状態の成人が感染しても、3~5割は無症状です。
症状が出るときには、2~3週間の潜伏期を経て
紅色斑丘疹、頸部リンパ節腫脹、3~5日の熱が出ます。
つまり、
「赤い発疹ができて、首のリンパが腫れて、3日ぐらいの熱」です。
3日の熱…ということで「3日はしか」の別名でも呼ばれます。
これだけで済めばよかったのですが。
残念ながら、胎盤経由で胎児に感染(先天性風疹)します。
しかも難聴、白内障、心疾患が3大症状です。
せっかく生まれてきたのに、
パパやママの顔も見られない、声も聞こえない…。
だから、妊娠中の感染を避けたいのに
日本では現在流行中…というのが現状です。
どうしてこんなことになっているのか。
それは日本の予防接種の変遷を反映しています。
以前、風疹は集団接種の対象でした。
ですがそれは「母体となりうる女性対象」のもの。
「1962年4月2日~1979年4月1日生まれの男性は予防接種対象外だった」と
書かれているのはそのせいです。
その後、任意接種の時期(1979年4月2日~1987年10月1日)を経て
ようやく男女ともにMRワクチン接種が義務付けられました。
MRワクチン(風疹・麻疹混合)が義務になったのは
1987年10月2日生まれ以降。
任意期間中は、約5人に1人しか接種していなかったとのこと。
だから現在31歳(1987年生まれ:2018年)以上の男性は、
風疹免疫を持っていない人が多く、今回の流行源になっているのです。
とにかく、妊娠を希望する人はワクチン接種をしましょう。
パートナーが決まっているなら、ぜひ一緒に。
1987年10月2日以降生まれの人も、
可能ならば早めに抗体検査をしちゃってください。
抗体価が8倍以下なら、すぐにワクチン接種です。
…もう妊娠していたら。
妊娠中はワクチン接種はできません。
弱毒化したとはいえ生ワクチン(風疹ウイルス)ですので、
ワクチンのせいで胎児感染が起きてしまう可能性があるからです。
そのときは仕方ない。
ぎりぎりまで外出を控えて、感染防止です。
飛沫感染なので、うがい・手洗い・マスクをお忘れなく!
次回はCのサイトメガロウイルスのおはなしです。