5 脳神経系と内分泌系のおはなし(8)

反射の具体的なおはなしです。

反射の基本は「受容器→中枢→効果器」という関係でしたね。

脳まで情報を届ける時間はない、脳で処理する余裕も必要もない。

だからこそ脊髄が「中枢」として判断・命令をしています。

ここでは、膝蓋腱反射について理解しましょう。

 

膝蓋腱反射…と書くとものものしいのですが。

「膝の下をぽこんとたたくと、足先が跳ね上がる」あの動きです。

始まりは筋肉の長さを感じ取る感覚神経。

これが受け止めるところなので「受容器」にあたります。

膝の下をたたくと、大腿四頭筋の長さが変化し…

「あっ!長さ変わった!」という情報が脊髄へと伝わっていきます。

脊髄は情報を受け取ると、

「これぐらいなら命令できる!大腿四頭筋、収縮!」と命令です。

この命令を受け取った大腿四頭筋は

「あ、了解です!収縮します!」と筋収縮。

命令を受けて効果が出るところなので「効果器」ですね。

ひざ下の脛骨につながっている大腿四頭筋の腱に引っ張られて、

足の先がぴこんと跳ね上がる…これが膝蓋腱反射で起こっていることです。

 

この膝蓋腱反射から分かるように、

「あ!」と思ったときには、もう足先は上がっています。

脳に情報が届く前に、効果器まで情報が伝わっているせいです。

脊髄で判断するメリット「早さ」が分かるはずです。

 

同様に、ヒトの体にはたくさんの反射があります。

飲み込みを行う嚥下反射、まぶしいと虹彩の穴が狭まる対光反射…

「2 呼吸器系」で紹介した、呼吸もある種反射行動です。

あのときの中枢(判断・命令場所)は延髄や橋。

意識的な判断・命令を行う「大脳」ではありませんね。

だから「反射は、意識外行動」です。

そして「意識のある動物が、意識外で行う判断・命令が、反射」でもあります。

 

反射の大切さと基本、もう分かりましたね。

分かってくれたところで、脊髄自体について簡単に。

脊髄は脊椎(背骨)の中にある神経細胞の集まり

普段は脳への伝達役、反射では中枢として判断・命令役です。

脳につながっている首の方(頚髄)はそれなりの太さがありますが、

腰骨付近では馬のしっぽのように細い糸状(「馬尾」)になっています。

そして脊髄に情報が入るのは背中側から、

脊髄から情報を出す(命令する)のは腹側からと決まっています。

「テレビやディスプレイへの信号入力は後ろから、

出力にあたる画像は前から出る」とイメージすればいいですね。

脊髄についてのおはなしが始まったので、

次回からは自律神経系のおはなしをすることができます。

文字の通り「自ら律する」神経系なくしては、

私たちは生きていることができませんよ!