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2 皮膚(2)皮膚の細胞に必要なもの

皮膚はすぐ傷む細胞を作り直すために、

どんどん細胞分裂をする必要があります。

分裂時に「変!」になったら困ってしまいますね。

細胞分裂時に必要になるビタミンセットの

ビタミンB12と葉酸の不足は、もちろん大問題。

ビタミンB12と葉酸は

細胞内の情報記録物質DNAを合成するときに必要ですから、

「皮膚の上皮細胞」に限定されない、

本来ならば「細胞一般」レベルでの問題ですね。

 

細胞分裂時に「変!」になる原因として、

紫外線による情報伝達ミスが考えられます。

生物や生化学で勉強した皆さんは、

「AはT、GはCとくっついて情報を相補的にコピーするはずなのに、

Tどうしが手をつないでコピーミスが!」と言えば分かってくれるはず。

紫外線がDNAに働いて、細胞内の情報を正しくコピーした

細胞分裂ができなくなってしまうのです。

もっと簡単に言うなら

「消化器系の働きが変になる(消化酵素をうまく作れない)?!

コラーゲンもちゃんと作ってもらえなくなる?!」ということですね。

 

…ここまで読んで

「やだっ!早く日焼け止め付けなくちゃ!」と焦った人、いますよね。

慌ててはいけません。

そして誤解してもいけません。

完全に紫外線を皮膚からさえぎったら、ビタミンDが不足してしまいます。

皮膚には「やばい!」と思ったら

広げる傘(メラニン色素)もありますので、まずは落ち着きましょう。

 

落ち着いたところで、

ビタミンDの重要性とメラニン色素、日焼け止めのおはなしに入ります。

 

ビタミンDは脂溶性ビタミンの1つで、

カルシウムの吸収に大きく関係します。

カルシウムは骨や歯の成分になるだけでなく、

細胞の情報伝達や筋収縮、

止血にも関係してくるミネラル(無機物)です。

ビタミンDがヒトの体に入ってきたときは「ビタミンDのもと」の状態。

皮膚で紫外線を受けて「ビタミンD」になるものが大部分です。

その後肝臓や腎臓の協力を得て、

ようやく「元気に働けるビタミンD」の完成です。

むやみと紫外線を怖がってビタミンD不足になってしまうと、

せっかくのカルシウムを体の中に取り入れることができなくなります。

 

カルシウムが不足すると、骨や歯がもろくなってしまいます。

日光を浴びる機会の少ない室内飼いのペットに多い

「骨の変形・姿勢異常等:くる病」は

典型的なカルシウム不足です。

日光を浴びる機会がないからビタミンDが不足、

ビタミンDが不足するとカルシウム吸収量も不足…ですね。

 

しかもカルシウム不足の影響は、骨と歯に限定されません。

カルシウムは血液中に一定の濃さ含まれて、

筋肉の収縮、神経の情報伝達、血液凝固にも必要になってきます。

筋肉がうまく動かない、情報がうまく伝わらない、

かさぶた(血液凝固)がうまくできない…等々の不具合が出てくるのです。

ここまで分かると

「皮膚にあたる紫外線を100%防ぐのは、良くないんだな…」と

理解できますね。

 

そこでヒトの体が

「ある程度は紫外線も必要、

でもそれ以上入りすぎないようにするよ!」と

準備したものがメラニン色素です。