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7 ヒトを取り巻く環境(1):遷移について(2)

地上の植物がなくなってしまうのは、

火山噴火だけではありませんね。

前回のように裸地から始まる遷移は「一次遷移」と呼ばれます。

これに対して、

植生だけが失われた状態から始まる遷移が「二次遷移」。

山火事やヒトによる伐採等がこれにあたります。

 

一次遷移と二次遷移の違いは土壌の有無。

土壌さえあれば、

コケ類や地衣類だけの過程を飛ばして、

いきなり草木植物や木本植物が育つことができます。

地下茎や種子の芽生えも期待できそうですね。

だから二次遷移は一次遷移よりも早く進みます。

 

そして遷移の始まりは地上(陸地)だけではありません。

今まで確認してきた陸地から始まる遷移は、

まとめて「乾性遷移」とも呼びます。

それに対する言葉が「湿性遷移」。

水気のある湖や沼(水中植生)から陸上植生に変化する遷移です。

昔の地図では湖(や沼)だったところが、

今見るとただの陸地…ということはよく起こります。

ヒトが人工的に埋め立てた結果かもしれませんが、

湿性遷移が起こった可能性もあありますよ。

 

スタートは水中に全身が沈む藻のような植物や、

大雨等で流れ込んだ土砂の堆積。

土砂の堆積が起こると、水の深さ(水深)が浅くなり、

一部が水上に出る植物が出始めます。

これで湖や沼が湿原になっていきますね。

また藻などが枯れて積もっても、ゆっくりと水深が浅くなっていきます。

湖や沼は川のように「水と一緒に流れ出ていく」ことがないため、

ゆっくりと確実に水深は浅くなります。

さらに一部が水上に出ている植物が枯れてさらに積もり、

水深ゼロ(表面にたまる水がなくなる)になると、

あとは陸地の乾性遷移です。

まもなくそこは草原になりますよ。

 

ここまで、植物(と土壌)に注目した植生のおはなしをしてきました。

次からは、ここに生息する動物も含めたおはなしになります。

多少区分が増えるので、混乱しそうになりますが…

まずは落ち着いて深呼吸。

動物を含めたおはなしになっても、

基礎になるのは植生の3区分(荒原、草原、森林)。

植生の3区分を決めるのは、水分(降水量)と気温でしたね。

そこを意識しておけば、混乱することなく理解できますよ!