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3 糖質と糖質代謝のおはなし(8)

2022年2月26日

残った糖質代謝のおはなしです。

「糖新生」「グルコースをグリコーゲンに」

「ペントースリン酸回路」「糖質から脂質に」ですね。

 

糖新生は糖以外の物から糖を作ること。

なぜ糖を作るのか…というと、原則として糖しか使えないところがありましたね。

赤血球でした。

脳は止まると一大事なので、ケトン体という非常食もありましたよ。

何から糖を作るのか、と言われたときによく出てくるのが乳酸です。

乳酸は解糖系の酸素不足時にできました。

そのまま筋肉に居座ったのでは、TCAサイクルにも入れず、役立たずです。

でも、血液で肝臓に運んであげれば…!

合成工場の肝臓が、乳酸をグルコースに変えてくれます。

これなら筋肉に戻してあげれば、またATPを取り出せますね!

筋肉は貯蔵と消費の場、肝臓は合成・分解もできる場所。

血液にのせて運んであげる意味、分かりますよね。

「激しい運動直後はすぐに立ち止まらず、息を整えながらゆっくり歩け!」

…なんて体育の授業で言われませんでしたか?

そこには、乳酸を筋肉から肝臓に運び、糖新生を…という深い狙いがあったのです。

 

「グルコースをグリコーゲンに」は、貯蔵形態合成ですね。

合成ですから、肝臓のお仕事。

貯めておく場所は筋肉と肝臓です。

筋肉のグリコーゲンは筋肉収縮専用

肝臓のグリコーゲンは、食間時(空腹時)の血糖維持です。

目的が違いますから、間違えないでくださいね。

 

ペントースリン酸回路」は、核酸(DNA・RNA)に使う糖を作ることが目的。

ペントースは、五炭糖でしたね。

ペントースに含まれるリボースやデオキシリボースを作ります。

このとき出てくるNADPHは商品券3号でした。

 

「糖質から脂質に」…これは分かりやすい。

糖質はATPのもとになりますが。

貯めておく効率でいえば、脂質の方が勝ります。

だから、余った糖質があったらある程度はグリコーゲンの形で貯めますが。

さらに余ったら脂質にして、しっかりととっておけるようにしているのです。

これ、まさに「甘いものを食べ過ぎると太る(脂肪が付く」こと。

でも脂肪だって、ちゃんとした役目があるんですよ。

「脂肪は敵だー」なんて考え方はやめましょう。

ここについては、脂質のところでちゃんと理解しましょうね。

 

以上、8回にも及ぶ糖質と糖質代謝のおはなしでした。

狭い意味での代謝と広い意味での代謝の関係、

ちゃんとつなげて理解できましたか?

細胞が動くためにはATPが必要で、

そのためには臓器や酵素の働きが必要で、

臓器が働くためにはやっぱりATPが必要で…。

狭い意味と広い意味の話は、決して別物ではありませんからね。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20220227更新)