9 ビタミン・ミネラルのおはなし(9)
ビタミンBのおはなし、もう少し続きます。
ビタミンB10,11を飛ばして…ビタミンB12のおはなしです。
ビタミンB12は、代謝とDNA合成に関係しています。
前回の葉酸(ビタミンB9)と重なっている、
と理解していいですよ。
神経障害が追加されるのがビタミンB12ですね。
もっとも、魚介類や肉類に含まれていますから、
欠乏症になることは少ないはずです。
神経障害は、
ビタミンB12が髄鞘形成に関係しているから。
神経細胞の形自体は、
タンパク質からできるもの(6 タンパク質代謝)で
確認しましたね。
そのチューブの部分を覆っているものが、髄鞘です。
神経細胞の中を、情報は電気で伝わります。
イメージとして近いのは電線。
線がむき出しの状態だと、
触ったらすぐ感電してしまいますし、
電気が外に逃げてしまい、
届く電気も減ってしまいますね。
だから、線の周囲を絶縁体で覆ってあげるのです。
神経細胞も同じ。
線状の部分を覆う髄鞘があって、
周囲に情報漏れをせずに
情報を届けられるようになっているのです。
髄鞘がないと…
情報が伝わらない、伝わっても周囲に悪影響…。
これが、ビタミンB12不足の神経障害ですね。
そして細胞分裂が早いところの1つ、
赤血球に悪影響が出るのが
「悪性貧血(巨赤芽球性貧血)」です。
赤血球は、造血幹細胞から成長して行く途中で
細胞分裂を必要とします。
そこで細胞分裂ができないと、
細胞ばかり大きくて役立たずの
赤血球もどき(巨赤芽球)ができてしまいます。
赤血球ができずに巨赤芽球ばかりで酸素が運べない…
これが、巨赤芽球性貧血です。
普通の貧血と違って
治るまでに時間がかかるため「悪性貧血」ともよばれます。
ここは、血液のおはなしでもう1回説明しますからね。
あとビタミンB12で忘れてはいけないのが「内因子」です。
胃液中には、
ビタミンB12の吸収を助ける内因子が含まれています。
病気等で胃(の一部)を切除(切り取る)してしまった人は、
この内因子が出なくなってしまいます。
その結果、ビタミンB12欠乏症が出てしまうのです。
「胃切除だから
一度に食べられる量が減って大変だ!」なのですが。
細胞分裂・神経細胞に影響の大きい
ビタミンB12もピンチです!
おまけとして、
目薬のピンク色(赤色)はビタミンB12の色です。
「シアノコバラミン」とあったら、
それがビタミンB12ですよ。
水溶性ビタミンのトリはビタミンC。
「お肌に良い」とされるのは、
抗酸化作用があり、
コラーゲン(保湿に関係)生成に関係しているからですね。
「アスコルビン酸」とあったら、ビタミンCのことですよ。
野菜・果実類(特に柑橘類)に多く含まれています。
ビタミンCの欠乏症といえば「壊血病」。
これ、大航海時代に食品保存技術が未熟だったせいで
海の男たちがバタバタ倒れていった病気です。
症状は粘膜(歯肉、消化管)出血、貧血などです。
ビタミンCが鉄の吸収に関係が深いことと、
粘膜維持にはタンパク質のコラーゲンが必要なことが
分かってくれるはずです。
ストレスがかかると、ビタミンC必要量が増えてきます。
現代社会でビタミンC欠乏…なんて起こしてはいけませんよ!
【今回の内容が関係するところ】(以下20220517更新)