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6 タンパク質代謝のおはなし(6)

2022年4月2日

タンパク質(アミノ酸)からいろいろなものができること、

みなさんはもうよく分っているはずです。

タンパク質が形を変えていくところを、

ほんの少し紹介しましょう。

 

タンパク質の形を変える酵素はたくさんあります。

全部説明することは到底不可能ですから、

今まで出てきた酵素の一部を説明しますね。

今回はASTALTのおはなしです。

 

…いきなり略称で紹介を始めてしまいましたが。

この2つは逸脱酵素のところで出てきました。

肝臓専門のALTと、

掛け持ち多すぎでしぼれないASTでしたね。

 

まず、ALTの正式名称は「アラニンアミノ基転移酵素」

「アミノ基を移して、アラニンを作るよ」という酵素です。

同時に、

「アラニンからアミノ基を移して、他のタンパク質を作るよ」

でもあります。

そう!

酵素の中にはどちらにも反応を進めることができるものがあります。

ALTもその1つですね。

グルタミン酸は神経伝達物質のもとにもなっているアミノ酸。

ピルビン酸は、糖質代謝で出てきましたね。

解糖系でグルコース1個から2つ出てきた、あの三角形です。

α-ケトグルタル酸は初登場ですが、

これまた糖質代謝のTCAサイクル(クエン酸回路)に出てきます。

アラニンはタンパク質と糖質をつないでいるので、

糖原性アミノ酸と呼ばれることもありますよ。

 

 

かたやAST。

こちらの正式名称は「アスパラギン酸アミノ基転移酵素」

 

…アミノ基を付けてアスパラギン酸を作るか、

アスパラギン酸からアミノ基を移して別のアミノ酸を作るんだね。

 

正解!

このように酵素は正式名称さえ分かってしまえば

「名前そのまんまの働き」をしています。

だから面倒でも、

正式名称から略称を覚えた方が理解としては楽になります。

こちらもグルタミン酸とα-ケトグルタル酸がいますね。

オキサロ酢酸は初登場ですが…

これまたTACサイクル(クエン酸回路)で出てくるもの。

だからアスパラギン酸も糖原性アミノ酸のグループです。

 

「~原性アミノ酸」には、

「糖原性」の他に「ケト原性」があります。

ケト原性アミノ酸は、脂質(ケトン体)合成に入っていくアミノ酸のこと。

リシン、ロイシンが代表格。

糖原性でもありケト原性でもあるアミノ酸もありますよ。

フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン、イソロイシン、

チロシンです。

これらは必須アミノ酸のように覚える必要はありません。

アミノ酸は糖ルートに入っていく「糖原性アミノ酸」と

脂質ルートに入っていく「ケト原性アミノ酸」がある

…これでオッケーです。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20220403更新)