4 薬に共通するおはなし(3):薬の働き(2)

細胞の中に入っていかない薬もあります。

細胞膜にくっつけば、

それで「薬として効く」ということですね。

 

ここで、生化学で勉強した

脂溶性ホルモンと水溶性ホルモンの違いを思い出してみましょう。

 

脂溶性ホルモンは細胞膜をくぐり抜けられるから、

受け止めるところ(受容体)は核の中で待っていましたね。

これは前回勉強した受動輸送や能動輸送で

細胞の中に入った薬のおはなしとつながっていきます。

 

水溶性ホルモンは、

細胞膜(脂質が主役の膜)を抜けることができませんでした。

だから受容体は細胞膜上にありましたね。

ホルモンが伝えたかった情報は、

受容体が細胞内に第2メッセンジャーを出して伝達してくれました。

これが「細胞の中に入らない薬」が狙うところ

(薬が効くところ)です。

 

細胞膜にある受容体に薬がはまるときの効果には、2種類あります。

1つは薬がはまってホルモンと同じような働きをさせるもの。

これを作用薬(アゴニスト)と呼びます。

ホルモンと同じような形の薬を作って、

受容体を勘違いさせて第2メッセンジャーを出させてしまうのです。

 

例えば、視床下部だけがおかしくなってしまい、

下垂体のホルモンを作る働きは正常だったとします。

視床下部は下垂体の働きをコントロールしていますから、

視床下部がおかしくなってしまうと下垂体はうまく働けません。

下垂体は前葉から6つ、

後葉から2つの大事なホルモンを分泌していますから…

大変なことになりますね。

そんなときは「視床下部ホルモンに似た形の薬(作用薬)」を体の中へ。

薬が下垂体に届いて受容体にはまれば、

薬の働きで下垂体はちゃんとホルモンを作れますね。

 

もう1つは薬がはまることで、

「ホルモンがくっつくことをブロックしてしまう」もの。

受容体にははまるけど、

受容体がホルモンと勘違いしない形の薬です。

こちらは拮抗薬(アンタゴニスト)と呼びます。

ホルモンが来ても、

薬がはまっているので受容体にはまることはできません。

だからホルモンの情報は伝わらないことになりますね。

 

例えば、抗炎症(アレルギー)薬として使われる

「抗ヒスタミン剤」。

これはヒスタミンがはまるところ(受容体)にはまりこんで、

ヒスタミンの情報が細胞に伝わらないようにします。

ヒスタミンの「涙や鼻水出して!」という情報が伝わらないので、

涙腺や鼻腔粘膜は(涙も鼻水)通常分泌のみ。

涙や鼻水が出すぎて困ることがありませんので

「鼻水が止まった!涙も止まった!」になるのです。

 

次回、もう少し細胞の中に入っていかない薬を追加します。