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12 各論7:呼吸(中枢・精神):⑦統合失調症の薬(5)

2024年3月24日

リスペリドン(リスパダール)は、

セロトニン受容体とドーパミン受容体に対する拮抗薬。

ドーパミン受容体ブロックで陽性症状に効き、

セロトニン受容体ブロックで陰性症状にも効く薬です。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00048772

セロトニンは自律神経系のコントロールと

覚醒状態(起きている状態)に関係の深い神経伝達物質。

受容体には興奮系と抑制系があります。

抑制系の受容体をブロックすれば、

覚醒状態抑制情報は伝わりません。

受容体にはまらなかったセロトニンのせいで、

興奮系情報が伝達されると

「ちゃんと起きている」状態につながります。

これなら「意欲欠如」に代表される

陰性症状も改善できそうですね。

 

禁忌は本剤とパリペリドンにアレルギーのある人。

パリペリドンは本剤の代謝産物です。

アナフィラキシーショック治療以外のアドレナリン使用中の人は、

作用逆転の可能性があるから禁忌。

昏睡状態や中枢神経抑制薬の強い支配下にある人も

悪化や増強の可能性があるため、禁忌になります。

 

5歳未満の小児に対する安全性は未確立です。

妊娠・妊娠可能性のある人に対しても、安全性未確立ですね。

一応「やむを得ず」のときには使えそうですが…

乳汁移行と妊娠後期の使用で

離脱症状や錐体外路症状が報告されていますので、

「使えない」と思っておいた方が間違いなさそうです。

 

慎重投与対象は肝臓や腎臓に障害のある人や高齢者。

5歳以上の小児も慎重投与対象です。

悪性症候群を起こしやすい対象が、

「脱水・栄養不良等を伴う身体疲弊」だけでなく

「パーキンソン病やレビー小体型認知症」まで

含まれることには注意ですね。

血糖値が上がる可能性があるので、

糖尿病やその危険因子がある人も注意してください。

また刺激に対する閾値が下がってしまいますから、

てんかんを起こす人にも慎重に。

既往歴も含まれることを確認しましょう。

細胞の電気発生に関連して、

QT延長の可能性がある人(QT延長作用のある薬を使っている人)、

不整脈のある人も慎重に使わないといけないお薬です。

そして一過性とはいえ血圧降下の可能性がありますから、

心血管疾患のある人や低血圧の人(疑いを含む)にも慎重に!

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20240324更新)