1 細胞と代謝:生命の最小単位(2)
細胞小器官(オルガネラ)のおはなし、スタート。
細胞の中の、役割分担のおはなしですね。
たくさん種類がありますが、
動物・植物両細胞に共通している核・細胞膜・細胞質からはじめましょう。
核は、遺伝情報を保管し、複製するところ。
遺伝情報は、体の設計図だと思ってください。
設計図は、DNAという素材に書いてあります。
DNAが主役のおはなしは、次章ですよ。
遺伝情報はとても大事なものなので、傷つかないように取っておきたいもの。
だから、2層の核膜で覆ってあります。
でも、必要なときに取り出せないのでは役に立ちません。
だから、核膜には核膜孔という穴が開いています。
核膜と核膜孔の必要性、ちゃんと理解してくださいね。
ここで、前回確認した原核生物を見てみましょう。
原核生物には、核がありません。
遺伝情報がない!…というわけではありませんよ。
特別に保護することなく、細胞内に情報が散らばっているのが、原核生物です。
しまい込んでいませんから、情報を使うことは簡単です。
でも、傷つく恐れは高まりますね。
そのため、1つの傷から遺伝情報の変化が起こりやすくなっています。
遺伝情報の変化には、いいことも悪いこともあります。
このあたりのおはなしも、次章にまわしますよ。
細胞膜は、細胞の中と外を隔てる膜です。
ただの膜ではありません。
細胞の外にある「必要なもの」を細胞の中に取り入れ
(エンドサイトーシス)、
細胞の中にある「いらないもの」を細胞の外に出す
(エキソサイトーシス)ができる、「生体膜」です。
イメージとしては、
家の中にいるのにドアや窓の開け閉めなく宅急便を受け取れて、
ゴミ出しまでできるようなものです。
このとてつもなく便利な細胞膜の正体は、
タンパク質と「ちょっと他のものがくっついた脂質(複合脂質)」。
ただの脂質は水嫌いですが、
リン酸や糖がくっついた脂質は水・油どちらとも仲良くできる両親和性。
この両親和性になった脂質が、細胞膜の主成分です。
だからダイエット等で脂質(油分)を全くとらないと、
細胞自体をうまく作れなくなってしまうのです。
脂質からできているのは細胞膜だけではありません。
特に、あとから出てくるホルモンとは意外なほど関係があります。
ここを読んだあなたは、変な食事制限ダイエットをしないでくださいね!
また、細胞膜は「電気」を起こすときに大事な働きをしています。
その主役は、細胞膜にあるタンパク質。
ここについては、神経のところでおはなししますね。
細胞質というのは、細胞の中を満たしている液体。
水が主成分ですが、水以外にもいろいろなものが溶けています。
ATPを作るときに必要なグルコースや、
カリウムイオン等のミネラルをイメージしてくださいね。
細胞にとって細胞質は内部環境そのもの。
細胞膜や細胞外環境(組織液などの細胞外液)の協力を得て、
細胞が生きていけるように維持しないといけません。
「細胞が生きること」イコール「ヒトが生きること」。
環境を維持する「生体の恒常性(ホメオスタシス)」については、
神経と内分泌系のところでまとめて勉強しましょう。