10 各論5:体温(感染・免疫):⑩がん(悪性腫瘍)(2)

悪性腫瘍(がん)に効く、細胞分裂の邪魔をするお薬の一例が

ビンクリスチン硫酸塩(オンコビン)です。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00047968

『がんのCHOP療法』で使う4つの薬の1つ(オンコビンの「O」)です。

「C」は全身性エリテマトーデスで紹介した

シクロホスファミド水和物(Cyclophosphamide Hydrateの「C」)。

「H」はついさっき出てきた

ドキソルビシン塩酸塩(Doxorubicin Hydrochlorideの「H」)。

「P」は同じく全身性エリテマトーデスで紹介した

副腎皮質ホルモンのプレドニゾロンの頭文字です。

要するに

「DNAの合成を邪魔(シクロホスファミド水和物とドキソルビシン塩酸塩)して、

細胞分裂も邪魔(オンコビン)!

副腎皮質ホルモン(プレドニゾロン)で炎症を抑える!」ですね。

 

話をビンクリスチン硫酸塩に戻しますよ。

「細胞分裂前の、2セットのDNAを1セットずつ細胞の両端に分ける」ところを

邪魔するお薬です。

 

禁忌に「髄腔内への投与」という場所禁止指令と、

「脱髄性シャルコー・マリー・トゥース病」という耳慣れない病名がありますね。

脱髄性シャルコー・マリー・トゥース病は、発見者3人の名前が付いた指定難病。

なぜ起こるのかはわからないけれど、

神経が変になったせいで、筋肉が動かなくなり衰えていってしまう病気

(神経原性筋萎縮症)です。

 

併用注意になっているものは、他の抗腫瘍薬や放射線治療。

これは骨髄抑制が強く出る可能性があるからですね。

他の抗腫瘍薬を使うときには、心毒性にも注意です。

意外なところとして、抗真菌薬(のアズール系)が入っていますね。

ビンクリスチン硫酸塩の神経障害が強く出てしまうからです。

 

慎重投与対象も併用注意とかなり重なりますね。

肝臓や腎臓に障害がある人、これらの機能が低下しやすい高齢者。

感染症や骨髄抑制状態にある人は、症状悪化の可能性がありますね。

同じように水痘(水痘・帯状疱疹ウイルスにかかっている人)も

症状悪化の可能性があります。

虚血性心疾患は心毒性の可能性、

神経・筋疾患の既往歴は

脱髄性シャルコー・マリー・トゥース病との関連性を思い浮かべてください。

あと、神経に悪さをする可能性のあるものとして、

白金製剤(抗腫瘍薬のシスプラチンなど)がありますよ。