4 神経系と内分泌系:守るためには指揮命令(2)
恒常性を守る基本システム「フィードバック」を理解しましょう。
フィードバックには行動のきっかけがあり、
そのきっかけと同じ方向に(分泌が)強化されることが、
「正のフィードバック」。
最初のきっかけと逆方向に(分泌が)抑制されることが、
「負のフィードバック」です。
…言葉だけだとイメージしにくいので、具体例。
暑い日に、エアコンの冷房スイッチを入れたとしましょう。
一発でちょうどいい温度になったら、
それはすごくラッキーなこと。
たいてい「まだ暑い…」か「寒い!」になります。
「まだ暑い…」ときに設定温度を下げることは、
「行動のきっかけ(暑い!)」と同じ方向の動きですね。
これが正のフィードバックです。
「寒い!」ときに設定温度を上げる(またはスイッチを切る)ことは、
「行動のきっかけ(暑い!)」とは逆の方向です。
これが負のフィードバックですね。
恒常性を守るのは、主に負のフィードバック。
ヒト体内の正のフィードバックとしては、
「LHサージ」だけは覚えておきましょう。
「サージ」というのは、急に分泌量が増えること。
LHというのは、黄体形成ホルモンのことです。
女性の排卵(卵巣から卵子が飛び出ること)のきっかけは、
LHサージです。
他の科目で「LHサージ」の文字を見たら、
「おっ!珍しい正のフィードバックだ!」と思い出してくださいね。
ホメオスタシスとフィードバックの意味・重要性が分かりました。
体の中のフィードバックを、具体例で確認していきましょう。
ここでは「代謝」と「血糖値」についておはなししますね。
まず「代謝」について。
代謝については、「1、細胞・代謝」でおはなししましたね。
細胞レベルで言うなら、
「1つのグルコースからATPを取り出す話」。
ヒトという個体レベルなら、
「主に糖質からATPを取り出し、筋収縮等を経て体温を保つ話」になります。
基礎代謝というのは、
横になっている(一番エネルギー消費が少なくて済む)状態で、
1日に必要になるエネルギー量のこと。
基礎代謝の単位はキロカロリー(㎉)なので、
細胞が作るATPとつながっていることが分かりにくいのが難点でした。
でも元をたどれば、細胞のATPが基礎代謝のベース。
基礎代謝の約6~7割が体温維持に使われます。
体温の恒常性維持、いかに大変で大切な仕事か分かりますね。
体温の恒常性の土台「代謝」を直接コントロールするのは、
のどの甲状腺から出るホルモンです。
次回、ホルモンによるコントロールを確認していきますよ。