9 ヒトを取り巻く環境(3):生態系(2)
食物連鎖が分かれば、生態ピラミッドの理解は簡単です。
まずは、食物連鎖を段階ごとに確認しましょう。
生産者が植物…これはいいですね。
植物を食べる消費者が「一次消費者」。
一次消費者を食べる消費者は「二次消費者」。
もっと先につながって三次、四次…と出てくることもあります。
このような生産者、一次消費者、二次消費者…などの
食物連鎖の段階を「栄養段階」と呼びます。
これらの段階は、下に行けば行くほど数が多くなります。
…逆に上の段階の数が多くなってしまったら、
食べるものがなくなってしまいますね。
このように、各段階の生物の個体数(何本、何匹、何頭…)を
下から上へと積み上げるとピラミッド状になります。
これが生態ピラミッドの1つ、「個体数ピラミッド」です。
また、各段階の生物の量(重さ:何トン、何キロ…)を
下から上へと積み上げたものが「生物量ピラミッド」。
そして各段階の生物が一定期間内(1か月や1年)に得た
エネルギー量(光や熱によるエネルギー:カロリーやジュール)を
下から上へと積み上げたものが「生産力ピラミッド」になります。
これらは注目する生態系が変われば、
段数やピラミッドの形が変化しますからね。
さて、3種類の生態ピラミッドを紹介しました。
一番下にある植物がどれくらい成長できるかで、
「上にある消費者たちがどれくらい生きられるか」を
左右していることが分かりますね。
そしてご存知の通り、天候(気候)は一定ではありません。
寒い年も暑い年も、雨の多い年も少ない年もあります。
植物の生育にも波が出てきます。
植物が増えれば一次消費者が増え、
それを食べる二次消費者も増えます。
食べられる量が増えたせいで植物が減ると、
食べ物がなくなって一次消費者が減り…
二次消費者も減りますね。
やがて食べられる量が減った植物が再度量を増やすはずです。
このように生態系のバランスは
大体一定の範囲内に保たれるようになっています。
特にバランスを保つ上で重要になる生物を
「キーストーン種」と呼ぶこともありますね。
基本的に、一番上の栄養段階の生物が該当します。
「大体一定の範囲」から外れても、
長い年月をかければ元に戻っていくことを
「生態系の復元力」といいます。
先に勉強した「森林の遷移」はまさにその例です。
ただし、度を超えた破壊を受けると
異なる生態系になってしまうこともありますよ。