9 ヒトを取り巻く環境(3):生態系(3)
前回、生態ピラミッドの3種類について確認しました。
おそらくその中で一番イメージをつかみにくいのが
生産力ピラミッドだと思います。
少しだけ、「エネルギーの移動」についてみていくことにしましょう。
生産者が光エネルギーを使って光合成をし、
無機物(水や二酸化炭素)から
有機物(グルコース等)を作るところはいいですよね。
このときグルコースができることを
「光エネルギーが化学エネルギーに変換された」
と表現されることがあります。
「化学的に、エネルギー(のもとになる物)に変わった」
と思ってくれればいいですよ。
そしてグルコースは植物の呼吸で一部消費され、
熱エネルギーになります。
熱エネルギーは植物の生命維持に使われますが、
一部は大気へと放出されていきますよ。
最終的に植物は一次消費者に食べられ、
一次消費者に「植物内に残っている化学エネルギー」が移動します。
一次消費者は呼吸することで化学エネルギーを熱エネルギーに変え、
生命維持と大気への放出がなされます。
ここは動物の体温維持の重要性が分かっていれば、
イメージすることは難しくないはず。
熱はどうしても高い方(温かいもの:動物)から
低い方(冷たいもの:空気)へと移動していきますからね。
そして一次消費者は二次消費者に食べられ…後は同じですね。
でも、ここで止まってはいけませんよ。
最後に分解者の出番があります。
生産者、消費者の枯死体や遺骸、排泄物(これらは有機物)を
分解して無機物にします。
このとき分解者の生命維持に使われなかった熱エネルギーは、
大気へと放出されていきます。
こうして、光エネルギーを出発点にして
エネルギーは形を変えつつ移動し、
最終的には大気へと向かっていくのが
生産力ピラミッドの基本になる「エネルギーの移動」です。
大気に出たエネルギーは、宇宙空間へと向かいます。
宇宙はとても広く、冷たいので、
そこから熱がどこかに移動することはありません。
「一応は分かった気がするけど…
エネルギーってやっぱりつかみづらい…」
そんな人もいるかもしれません。
では、もう少し見方を変えて。
炭素と窒素に注目して生態系内の移動を確認してみましょう。
「糖質(や脂質)と、タンパク質の移動」だと思えば、
少し身近に感じられるはずですよ。