10 核酸・遺伝子のおはなし(12)

2022年5月30日

今回は染色体の振り分けについてのおはなし。

染色体というのは細胞分裂時に出てくる、

DNAがぎゅぎゅっと集まって

X字型やY字型になったものです。

細胞分裂のときにコピー忘れや配布ミスを防ぐために、

ほぼ同じ情報が入ったものどうしを寄せ集めた後、

向かい合わせて、

ちゃんと確認してから2つの細胞に分けるためですね。

 

とはいえ、誰にだってミスはあります。

細胞だって同じこと。

「しまった!新しい細胞に多く入れすぎた!」

「足りなーい!」なんてことが起こります。

…起こっても、

体細胞分裂(普通の細胞分裂)なら問題になりません。

ミスのあった細胞はどこかしらおかしくなり、

細胞分裂できませんが、それでおしまい。

他の細胞がちょっとだけ頑張って多く増えれば済む話です。

 

でも、これが精子や卵子といった生殖細胞で起こったら。

生殖細胞は新しい生命を作るための細胞です。

フォローしてくれる「他の細胞」はありません。

唯一いる「他の細胞」は受精する相手の細胞。

すぐに受精して新しい細胞になってしまいますから、

ミスのフォローなしに「新しい生命」誕生です。

つまり、生殖細胞を作る

『減数分裂』での染色体振り分けミスは

そのまま新しい生命に影響してきます。

 

例えば、性染色体。

男性の精子の性染色体振り分けはうまくいきましたが、

女性の卵子で性染色体振り分けミスがあったとしましょう。

本来XXの女性となるべきところが男性からX、

女性からO(Xのはずが振り分けミス)だと、

ターナー症候群です。

Xが一本足りないせいで、

二次性徴が起こらず子供を残せません。

また、本来XYの男性となるべきところが男性からY,

女性からXX(Xのはずが振り分けミス)だと、

クラインフェルター症候群

こちらもXが多すぎるせいで二次性徴が起こらず、

子供を残せません。

このように染色体にのっている情報は

多すぎても少なすぎてもだめなのです。

もちろん、常染色体でも振り分けミスは起こります。

本数異常で有名なのが「トリソミー」。

2本でいいところに、3本入ってしまうことです。

…常染色体の本数異常は致命的です。

産まれてくるまで大きくなれるのは、

13,18,21番染色体のトリソミーくらい。

さらに13,18トリソミーは出生しても1年もつか持たないか。

何とか生存できるのが…21トリソミーの「ダウン症」ですね。

2本でいいものが3本ある悪影響で、

生存できるとはいえ、体のあちこちに奇形が生じてしまいます。

染色体の振り分けミスには本数以外にも、

「乗り換え」「転移」「欠損」などがあります。

ここについての理解は、勉強が進んでからで十分です。

 

「体細胞分裂ではミスしても心配なし、

生殖細胞を作る減数分裂で起きたら一大事!」

染色体振り分けミスについての理解は、

これでオッケーです。

今回出てきた染色体振り分け異常は

有名なものばかりですから、

ちゃんと覚えてくださいね!

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20220530更新)