10 各論5:体温(感染・免疫):⑧過敏症(1)
過敏症は、
体を守る働き(免疫系)が過度に敏感になってしまったもの。
本来そこまで異物認定しなくてもいいものにまで
「異物!追い出せ!」の働きが行われるものです。
Ⅰ型からⅣ型まであること、
それぞれに働く白血球の種類が違うこと等は
生化学でおはなししましたね。
薬自体も過敏症の原因になりえます。
消炎鎮痛剤のアスピリン喘息や
ピリン疹(発疹)が代表ですね。
ここでは、良く出会う
Ⅰ型とⅣ型の過敏症に使う薬のおはなしをしますね。
Ⅰ型(即時型)過敏症のキーワードは、
抗体(Ig-E)、肥満細胞、分泌顆粒中のヒスタミン。
このどれかを邪魔すれば、Ⅰ型過敏症を防げるはずです。
抗体ブロックの例が
スプラタストトシル酸塩(アイピーディ)。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00000238
Ig-Eを邪魔するだけでなく、
インターロイキン4(IL-4)を邪魔することで
Bリンパ球増殖抑制作用もあります。
禁忌はこの薬自体に過敏症のある人ですね。
肥満細胞からヒスタミンが出てくるところを邪魔する薬の一例が
アンレキサノクス(エリックス)。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00053914
炎症物質のロイコトリエンを作るところまで抑制してくれます。
こちらも、この薬にアレルギーのある人には禁忌ですよ。
ヒスタミンが出てきてしまっても、
ヒスタミンがはまるところ(受容体)を邪魔する薬もありますよ。
一例としてケトチフェンフマル酸塩(ザジテン)をご紹介。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00054159
ヒスタミン受容体だけでなく、
「血小板活性化因子(PAF)による気道反応」も抑制してくれます。
Ⅰ型過敏症で怖いアナフィラキシーショックによる
気道閉塞を予防してくれる…ということですね。
ありがたいお薬ですが、禁忌と併用注意に注目。
薬本体への過敏症に加えて、
てんかんの既往歴がある人には禁忌です。
神経刺激に対する閾値が低下する可能性がある
(すぐに神経細胞が興奮しやすくなるかも!)ので、
過度の刺激が
けいれんにつながってしまうかも…ということです。
併用注意はアルコール、中枢抑制薬や他の抗ヒスタミン薬。
精神運動の過度の低下…つまり「眠気が強く出る」ですね。
少なくとも、車を使う人にとっては要注意です。
ロイコトリエンがくっつくところを邪魔する薬もありますよ。
例えばプランルカスト水和物(オノン)。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00051194
こちらはロイコトリエン作用(気道収縮)を直接邪魔しますから、
Ⅰ型過敏症の
アナフィラキシーショック予防が分かりやすいですね。
もちろん、薬にアレルギーがあったら禁忌ですよ。
予防しても出てしまったアナフィラキシーショックには、
あわてず騒がずアドレナリン注射です。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230603更新)