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10 各論5:体温(感染・免疫):⑧過敏症(1)

2023年6月3日

過敏症は、

体を守る働き(免疫系)が過度に敏感になってしまったもの。

本来そこまで異物認定しなくてもいいものにまで

「異物!追い出せ!」の働きが行われるものです。

Ⅰ型からⅣ型まであること、

それぞれに働く白血球の種類が違うこと等は

生化学でおはなししましたね。

薬自体も過敏症の原因になりえます。

消炎鎮痛剤のアスピリン喘息や

ピリン疹(発疹)が代表ですね。

ここでは、良く出会う

Ⅰ型とⅣ型の過敏症に使う薬のおはなしをしますね。

 

Ⅰ型(即時型)過敏症のキーワードは、

抗体(Ig-E)、肥満細胞、分泌顆粒中のヒスタミン。

このどれかを邪魔すれば、Ⅰ型過敏症を防げるはずです。

 

抗体ブロックの例が

スプラタストトシル酸塩(アイピーディ)。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00000238

Ig-Eを邪魔するだけでなく、

インターロイキン4(IL-4)を邪魔することで

Bリンパ球増殖抑制作用もあります。

禁忌はこの薬自体に過敏症のある人ですね。

 

肥満細胞からヒスタミンが出てくるところを邪魔する薬の一例が

アンレキサノクス(エリックス)。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00053914

炎症物質のロイコトリエンを作るところまで抑制してくれます。

こちらも、この薬にアレルギーのある人には禁忌ですよ。

 

ヒスタミンが出てきてしまっても、

ヒスタミンがはまるところ(受容体)を邪魔する薬もありますよ。

一例としてケトチフェンフマル酸塩(ザジテン)をご紹介。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00054159

ヒスタミン受容体だけでなく、

「血小板活性化因子(PAF)による気道反応」も抑制してくれます。

Ⅰ型過敏症で怖いアナフィラキシーショックによる

気道閉塞を予防してくれる…ということですね。

 

ありがたいお薬ですが、禁忌と併用注意に注目。

薬本体への過敏症に加えて、

てんかんの既往歴がある人には禁忌です。

神経刺激に対する閾値が低下する可能性がある

(すぐに神経細胞が興奮しやすくなるかも!)ので、

過度の刺激が

けいれんにつながってしまうかも…ということです。

併用注意はアルコール、中枢抑制薬や他の抗ヒスタミン薬。

精神運動の過度の低下…つまり「眠気が強く出る」ですね。

少なくとも、車を使う人にとっては要注意です。

 

ロイコトリエンがくっつくところを邪魔する薬もありますよ。

例えばプランルカスト水和物(オノン)。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00051194

こちらはロイコトリエン作用(気道収縮)を直接邪魔しますから、

Ⅰ型過敏症の

アナフィラキシーショック予防が分かりやすいですね。

もちろん、薬にアレルギーがあったら禁忌ですよ。

予防しても出てしまったアナフィラキシーショックには、

あわてず騒がずアドレナリン注射です。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20230603更新)