試し読みページ

https://5948chiri.com/readtrial/

2 「モノ」のおはなし(3):基本事項と濃度

お待たせしました。

看護に関係のある「濃度」のおはなしです。

「…どこが?」と言われてしまいそうですが。

濃度は、点滴(輸液)や希釈(薄める)のベースになっています。

看護師国家試験の計算問題で出てきますので、

しっかり理解しておきたいところですね!

 

点滴や希釈で大事になってくるのは

「お薬等の濃さ(どれくらい含まれているか)」です。

なぜ重要か、については薬理学や微生物学にお任せしちゃいますよ。

少なくとも

「その薬の成分さえ入っていればいい!」という話ではないのです。

「どれくらい含まれているか」ということは

「その薬を構成する最小単位が何個あるか」ということ。

…『何個あるか』と簡単に言いましたが。

この化学の世界はあまりに小さすぎて、普段は目に見えません。

見ようとするなら、超強力な顕微鏡が必要です。

しかもそんなのを見ながら「1個、2個…」と数えて毎日の点滴を作るなんて、

時間が足りませんし、現実的でもありませんね。

 

どうするのか。

 

たくさん集めて、重さから個数を知ることにしたのです。

最小単位になる粒は、1個では軽すぎて重さを量れたものではありません。

だから、たくさん集めて日常的な単位(g)で量ることにしました。

集める個数は「6.02×10²³個にする」のがお約束です。

これをアボガドロ数と呼んでいます。

「粒をこの個数集めると、量りやすい重さになるぞ!」と

昔の偉い人(アボガドロさん)が決めたことなので、

ありがたく使わせてもらいましょう。

「10²³」というのは10を23回かけた数のこと。

そんなに大きな数は書くのも読むのも大変なので、

「10²³」と示すことにしています。

「10の23乗(じょう)」と読みますよ。

同じ種類の粒を10²³個集めると、

「粒の1個あたりの重さ」にg(グラム)の単位を付けたものになります。

「粒の1個当たりの重さ」は、

粒が原子なら「原子量」、粒が分子なら「分子量」、

粒がイオンなら「式量」と呼んでいます。

 

具体例で確認。

水(H₂O)分子の分子量を見てみましょう。

水素(H)の重さは1、酸素(O)の重さは16と決められています。

Hが2個と酸素が1個で水ですから、

H₂Oの分子量は1+1+16=18ですね。

だから、水分子(水の粒)を6.02×10²³個集めると、18gになります。

 

粒の重さと原子量、分子量、式量とアボガドロ数の関係はとても便利なもの。

どんどん使っていってください。

他にも化学のお約束はたくさんあります。

便利なものばかりですので、

必要になったら説明していきますからね。

 

次回は濃度そのもののおはなしに入ります。