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2 「モノ」のおはなし(4):基本事項と濃度

点滴の前におはなししておかないといけないこと、

それが濃度(濃さ)です。

 

最初はイメージしやすい「固まり(固体)が水に溶けた」で。

黒糖やブラウンシュガーのように、溶けたものに色がついていれば

大まかな色の濃さで濃い・薄いは分かりますね。

でも、上白糖(いわゆるお砂糖)だと、色の違いで濃さを判断できません。

それに微妙な濃さの違いは、色付きであっても判断できませんね。

そこで、もっとしっかり(まじめに?)濃さを知りたいときには

濃度計算をすることになります。

何に注目するかによって濃度にもいろいろありますが…

「質量パーセント濃度(%)」と

「モル濃度(mol/ℓ)」は必ず理解してくださいね。

 

「質量パーセント濃度」は、

「できた溶けている『液体の重さ(g)』のうち、

『溶けているものの重さ(g)』は何%ですか?」を見ています。

溶かそうとする物の重さ(g)と、

できた液体の重さ(g)が分かれば、計算できそうですね。

具体例でいきましょう。

砂糖(溶かそうとする物)18gを水に溶かしたら、

100gの液体ができたとします。

このできた液体の質量パーセント濃度は、

(18g÷100g)×100=18%になります。

分母(下)ができた液体の重さ、分子(上)が溶かそうとする物の重さ、

この割合を100分率(%)で出すので、最後に100をかけています。

教科書に書いてある溶媒、溶質、溶液という言葉に対応させると…。

溶媒は溶かすための水、

溶質は溶かそうとする砂糖、

溶液ができた砂糖水ですね。

これらの言葉は堅苦しいものですが、

文字数を減らすうえで有効なので、早めに慣れてくださいね。

 

「モル濃度」は、

「できた溶けている液体(ℓ)のうち、

溶けている物は何モルですか?」を見ています。

「モル」というのは、一種の単位。

「粒を6.02×10²³個集めたときに、1モルと呼ぼうねー」と決められたもの

この数字、見覚えありますね。

原子量、分子量、式量で出てきたアボガドロ数です。

水の分子量が18で、6.02×10²³個集めると18g…は前回のおはなし。

だから水なら18gで1モル、36gあれば2モルです。

砂糖にはいろいろありますが…

例えば、グルコース(ブドウ糖)という糖はC₆H₁₂O₆です。

これは炭素6個、水素12個、O6個で安心している…という分子。

炭素(C)の重さは12ですから、分子量を出すと

(12×6)+(1×12)+(16×6)=180になります。

分子量が分かればモル濃度は簡単。

グルコースが180gで1モルですから、18gなら0.1モルですね。

だから、水(溶媒)1ℓにグルコース(溶質)18gが溶けた液体があったら、

その液体(溶液)のモル濃度は0.1モル/ℓ(=0.1mol/ℓ)になります。

 

ここまで分かれば、点滴や消毒液希釈の基本

「濃度」はオッケーです。

後は必要に応じて、必要な濃さの溶液を作るだけです。

看護の世界では質量パーセント濃度が使われることが多いので、

意識して使いこなせるようになってくださいね。