3 気体と三相(1):肺と酸素ボンベの基礎
気体のおはなし…の、イントロダクション。
今回は「カップラーメンと気圧」のおはなしです。
自分の力で山を登り、山頂で景色を満喫!
下りへのエネルギー補充を兼ねて、
美しい景色の中、持ってきたカップラーメンでお腹を満たそうとすると…
残念ながらあまりおいしくありません。
持ってきたカップラーメンが悪いわけではありませんよ。
普段と「気圧」が違うからです。
「気圧(大気圧)」というのは、
地球を覆っている空気が押す力のこと。
高い山の上に行くと、空気が薄くなります。
空気が薄いと、かかる力(圧力)が小さくなります。
では、気圧が変わるとどうしてカップラーメンがおいしくなくなるのか。
それは「お湯」のせいです。
カップラーメンの容器には「沸騰したお湯を入れて…」と書いてありますね。
この「沸騰」がポイントです。
普段(地表付近で)は、水は100℃で沸騰します。
沸騰というのは、
水(液体)の粒が、空気が上から押す力に打ち勝って空中へ飛び出していくこと。
普段は、100℃でようやく水の粒が空中へ飛び出します。
でも、山の上は気圧が低いために
もっと低い温度でも水の粒が空中に飛び出していってしまうのです。
だから、山の上では80~90℃くらいで水が沸騰してしまいます。
すると…同じ「沸騰したお湯」を入れても、
100℃近いお湯が入ることを前提に作られたカップラーメンは、
90℃より低い温度のお湯では本来のおいしさを出せない…
これが「あまりおいしくない理由」なのです。
「でも、飛行機の中で食べたカップラーメンはおいしかったよ!」
それは特別なカップラーメンだから。
特殊製法で「低温のお湯でもおいしく戻せる」カップラーメンが作られています。
その特殊製法のカップラーメンを手に入れることができれば、
山頂でも「おいしい!」はずです。
次回から始まる「気体と三相」では、
気体の圧力についての説明が出てきます。
そのときに「気体の圧力…ああ、カップラーメンか!」と思い出せば、
難しい話ではなくなりますからね!