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6 各論1:脈・血圧(心臓):心筋梗塞・狭心症(2)血管拡張薬(1)

2022年12月14日

心筋梗塞は生命の大ピンチですから、

そんなことになる前に防ぎたいものです。

事故等で

いきなり詰まるもの(塞栓子)が飛んでくるならまだしも、

サインがあるならそこで対応したいですね。

サインの1つになるのが、狭心症です。

 

狭心症の痛みが出る場所は、

心筋梗塞と同じ胸部や心窩部。

押される、締め付けられるような痛みが

数分続き…治ります。

治ってしまうので「…ま、いっか」と放置されがち。

この痛みは動脈が一時的に狭くなったせいで

「血液足りなーい!苦しいー!」と心筋があげている悲鳴。

血管自体が狭さにけいれんを起こすこと(攣縮)も

痛みの一因です。

「一時的な狭まり」で済んでいるうちに対応しないと、

心筋梗塞になってしまうかもしれませんね。

 

心筋に血液を届ける冠状動脈が一時的に狭くなってしまう原因は、

1つではありません。

血管の太さを調節する平滑筋のせいかもしれません。

血管の内側(内腔の直径:内径)が

狭くなっているせいかもしれません。

先天的な狭さ(狭窄)ではなく、

後から狭くなった原因には脂質等による粥状硬化が代表的ですが…

それについてはもう少し後で。

ここでは、血管の平滑筋に効く薬を説明しますね。

 

血管の平滑筋を収縮させないためにはどうしたらいいか。

筋肉への収縮命令をブロックするか、

筋収縮に必要なイオンの流れ込みを邪魔すればいいのです。

これが「β遮断薬」や

「Ca拮抗薬(カルシウム遮断薬とも呼ばれる)」です。

 

筋肉の収縮の簡単な復習を兼ねて、

カルシウム拮抗薬のおはなしからスタート。

細胞の通常(ノーマル)状態は、

細胞内(の電位)がマイナスになっていましたね。

ここに電気刺激(収縮命令)が来ると、

ナトリウムチャネルが開き、

ナトリウムイオンがプラスの(電気を帯びている)せいで

細胞内(電位)はプラスになります。

プラスになるとナトリウムチャネルは閉まり、

代わりにカルシウムチャネルが開きます。

やがて細胞内外のカルシウム濃度が同じになって、

チャネルは開いていても

カルシウムイオンが流れ込まなくなります。

そうすると開きっぱなしのカリウムチャネルのせいで、

細胞内(電位)はマイナスに戻ります。

この「マイナス→プラス→マイナス」の変化によって、

周囲の細胞に電気刺激(収縮命令)が伝わっていくのです。

収縮命令を受けた細胞は自分が収縮しつつ、

周囲にもその命令を伝えていく…ここまでいいですね?

理解できていない人は、ちゃんと解剖生理学で復習ですよ。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20221214更新)