4 固体と液体・溶解(5):浸透圧とぎゅうぎゅうすかすか液体版

血液の「水に溶けないものの運び方」について。

血液の中に溶けているものの多くは、

粒自体が水溶性(糖など)やイオンの形(ナトリウムやカリウム)で溶けています。

でも、水に溶けないものも運ぶ必要があります。

そんなときは、

血液中の血漿タンパク質(アルブミン)にくっつけて運びます。

血漿タンパク質にくっつけた後の大きさが10⁻⁷m~10⁻⁹mぐらいなら

コロイド溶液としてふわふわただよっていられましたね。

アルブミン自体が6×10⁻⁹mのなので1人でもコロイド溶液。

10⁻⁷くらいの大きさまでは

水に溶けないものをくっつけてもコロイド溶液のままでいられます。

つまり、油にしか溶けないものも血液で運ぶことができるのです。

このように「モノを運ぶ」役割があるので、

アルブミンは「運搬タンパク質」と呼ばれることもありますよ

さて、途中にいろいろとお話をはさんできたので

「何の役に立つのか分からない!」にはならないと思います。

…でも前章(気体のおはなし)との対比で、

ここでおはなししないといけないことがあります。

「ぎゅうぎゅうすかすか」の液体編です。

 

気体のぎゅうぎゅうすかすかは、

粒が多いほうから少ないほうに動く…でしたね。

液体編では、

「水の粒」が「濃いほうから薄いほうに動く」です。

 

気体と液体の違いは…

漢字はもちろん、粒の運動性が違います。

気体は海外脱出、液体は国内旅行。

動くとはいえ、動く範囲が違いましたね。

液体は相変化をしないなら「液体の中」でしか動けません。

水の分子は、分子という目で見れば結構小さいほうです。

それより小さい分子もあることはありますが、

水の出入りは自由だけど他の粒は制限…細胞の世界ではよくあることです。

そうすると、

「ぎゅうぎゅうすかすか」の状態で動き回る自由があるのは

水の粒だけ、ということになります。

 

「濃い液体」と「薄い液体」があって、

間に壁はあるけど水の出入りは邪魔されないなら、

薄い液体の中にいた水の粒は、濃い液体の方に動いていきます。

これが液体版「ぎゅうぎゅうすかすか」です。

そしてこの水の粒が動いていこうとする力が、「浸透圧」です。

 

そのうえで、

「細胞と周りの濃さは同じくらいじゃないとヤバい!」ということに気付いてください。

細胞の中が濃いと、細胞の中に水が流れ込みすぎて水浸しです。

あまりにも差が大きいと、

水が入り込みすぎて細胞がパンク(破裂)してしまいます。

これでは細胞が生きていけません。

細胞の中が薄いと、今度は水の粒が細胞から外に出ていってしまいます。

細胞は水不足でしおれてしまい…こちらも細胞が生きていけません。

だから、細胞内外の濃度はできるだけ等しく!

ここで「生理食塩水」のはなしが出てくるのです。

 

生理食塩水というのは、0.9%食塩水のこと

これだけでは薄味すぎて飲んでもおいしくありませんが、

少し果汁を入れると熱中症や下痢後の水分補給にもってこいの一品に。

なぜこの食塩水に「生理」の2文字がついているのかというと。

この食塩水の濃さ(薄さ)はヒト細胞にとって

細胞内外の濃度がほぼ等しくなるちょうどいい濃度なのです。

「等張液」と呼ぶこともありますね。

あくまで「ヒト」にとってですから、

ペットの脱水時に使っても等張液にはなりませんよ。

体内の水分が足りなーい!というときに、

この生理食塩水ならぐびぐび飲んでも細胞内外で

「ぎゅうぎゅうすかすか」による水の移動が起きずに済みます。

逆にちゃんと考えないで水分補給をすると

細胞レベルで「更なる脱水!」

「細胞破裂の大惨事!」なんてことが起こりうるのです。

本当は他にも考えてほしいことはありますが、

それはもう少し進んでからのおはなしですね。