13 各論7:ウイルス(1)DNAウイルス(3)

D ヘルペスウイルス科

続いて代表ウイルスがたくさんいるヘルペスウイルス科。

エンベロープのある、正二十面体のウイルスです。

ヘルペスウイルス科は潜伏感染を起こして、

感染状態が持続することが特徴です。

年を取ったり、免疫状態が悪化したりすると、

再びヒトに悪さをし始めることになりますよ!

 

(A)水痘・帯状疱疹ウイルス

まずは水ぼうそう(水痘)と帯状疱疹の原因になる

「水痘・帯状疱疹ウイルス」。

このウイルスが初めて体に入ったときにする悪さが「水痘」。

上気道から飛沫核感染(空気感染)してヒトの体に入り、

局所リンパ節で数を増やします。

増えたウイルスは血液中に流れ出してウイルス血症になり、

全身に水疱ができるのです。

水疱の中にはウイルスがいっぱい。

水痘が全部カサカサになる(痂皮化する)まで感染力がありますから、

そこまでは学校の出席停止。

感染症法5類の、小児科定点届出感染症です。

 

小児がかかれば主に皮膚症状だけで済むことが多いのですが、

ときに肺炎や脳炎を合併することもあります。

成人になってからかかると、肺炎や脳炎を合併しやすく、

重症化しやすいので要注意です。

 

そして皮膚症状が治まった後も、

水痘・帯状疱疹ウイルスは神経節に潜伏感染し続けます。

大人になって過労等で免疫機能が低下すると…

帯状疱疹として再び悪さをすることに(回帰発症)!

 

帯状疱疹は50歳以上に多く、

潜伏していた神経の支配領域(デルマトームを思い出してください)に、

体の片側だけに水疱ができます(片側性水疱)。

そして「激痛」を伴います。

潜伏感染していたところが顔面神経の通る神経節だと…

大変なことになります。

ラムゼイハント症候群と呼ばれる

片側性の顔面麻痺、難聴・耳介湿疹が起こってきます。

「なぜ、耳?」と思った人は、

顔面神経(第7脳神経)と内耳神経(第8脳神経)が

どちらも橋から出ていて、すぐそばにあることを確認しておきましょう。

もちろん顔面麻痺で何が起こるか(目も口も閉じられない…)、

何に注意しなくちゃいけないかも復習しておいてくださいね。

帯状疱疹は治った後も痛みだけが残る(帯状疱疹後神経痛)

ことも覚えておきましょう。

 

だから帯状疱疹が起こらないように

50歳以上は予防としてワクチン接種ができます。

これは任意接種です。

帯状疱疹になった後に使う薬(抗ウイルス薬)もありますが、

「激痛?しかも後まで痛みが残る?!」と分かっていれば、

再発(回帰発症)予防の重要性が分かってきますよね。

 

水痘・帯状疱疹ウイルスの怖さはこれだけではありません。

AIDS発症後や移植前後の免疫(不全)状態の初感染は、

生命にとって極めて危険です。

もし水痘を何とか乗り切ったとしても、

回帰発症の帯状疱疹が全身に出ることになります

(「汎発性帯状疱疹(播種性帯状疱疹)」)。

 

また、出産前の女性も初感染を絶対に避ける必要があります。

100%ではありませんが、新生児が重症水痘を発症することがあり、

発症してしまったときには約30%が命を奪われてしまいますからね。