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5 熱い!冷たい!(やけどと凍傷)(3):一酸化炭素中毒

…これを応急手当で紹介していいのか悩みますが、

少なくともやけどや凍傷と共通するところがあるので。

一酸化炭素中毒のおはなしです。

 

大元にあるのは、酸素の運搬のしくみです。

酸素を運搬してくれるのは赤血球。

赤血球の中にある、

ヘモグロビンが酸素とゆるーくくっついてくれる…でしたね。

そんなヘモグロビンを大好きなのが、

一酸化炭素(CO)です。

「一度くっついたらもう離さない!」

…もうヘモグロビンは酸素とくっつくことができません。

赤血球が酸素を運搬できなくなってしまうのです。

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一酸化炭素は「不完全燃焼」で出来てきます。

「燃えるものに対して、酸素が足りないよ!」ということです。

寒いから、窓を開けずに暖房器具を付けていると…

あっという間に不完全燃焼に適した状態の出来上がりです。

 

一酸化炭素に、匂いも色もありません。

だから静かに静かに体内が酸素不足になっていきます。

まず出てくるのは、頭痛・めまい・あくび。

ここで気付けば、まだ間に合います。

すぐに窓を開け、換気です。

 

「寒いから…」「寝不足かな…」とスルーすると、

意識はあっても体が動かない状態になってきます。

これ、もう1人ではどうにもできない状態です。

他の人が助けに来てくれることを祈るのみ。

最終的には、中枢の細胞もおかしくなって

呼吸が止まってしまいます。

しかも、運よく助けてもらっても、

後遺症が脳に残る(聴覚障害や中枢障害)可能性があります。

 

だから「一定時間ごとに寒くても換気」が必要なのです。

換気をするとき、

1つの窓を開けるだけではダメですよ。

空気が流れるように2つ以上、

出来れば部屋(や家)の対角線にあたる部分の窓を開けてください。

「寒い空気が流れ込んできた!」は、

「酸素が多い空気が入り込んできた!」と同じことです。

 

この一酸化炭素中毒の怖さから、

電気使用の暖房器具が広く使われるようになりましたが…

今度は低温やけどが怖いことは、

前回おはなしした通りですね。

家や部屋全体を電気で温めようとするとどうしても

「お高く」つくことになります。

でも、やけどや一酸化炭素中毒になるよりははるかに安いはず。

 

次回は「冷たい!」の結果細胞が障害された、

凍傷のおはなしです。