5 熱い!冷たい!(やけどと凍傷)(4)
「熱い」から一転。
ここからは「冷たい!」おはなしです。
凍傷についておはなししますね。
凍傷は登山家だけの問題ではありませんよね。
スキーやスノーボードといったレジャーだけではなく、
雪かきのような日常行動でも起こるものです。
問題になるのは、細胞の酸素・栄養分不足と細胞凍結。
細胞の酸素・栄養分不足の原因は、血管収縮です。
ヒトの体の周囲が寒いとき、
体温を守るために皮膚近くの血管はギュッと縮まります。
暑いときに皮膚近くの血管が広がって、
たくさんの血液を流すことで熱を放出する…の逆ですね。
流れる血液は最小限にして、
逃げる熱を減らすことで体温を保とうとしているのです。
でもあまりに最小限を求めすぎると、
少しでも細胞が活動するとすぐに酸素・栄養不足に。
ここでちゃんと血管が広がって血液が届けばいいのですが…
血管が収縮し続けると、細胞に必要なものが届きません。
長時間この状態が続くと…細胞が死んでしまいます。
これが「壊死」ですね。
こんな怖いことになる前に、
寒さで痛み・不快感・しびれを感じてきたらとにかく温めましょう。
温めることが、何よりも凍傷の予防と対策になります。
温めが遅れて、しかも細胞が凍結(0℃以下)してしまうと、
皮膚が赤黒く変色してきます。
細胞が損傷した結果、
水膨れ(水疱)ができることもありますよ。
細胞損傷で水疱ができるのは「熱い!」も「冷たい!」も一緒です。
お湯(入浴温度少し高めの40℃~42℃)で
凍った細胞を溶かすしかありません。
溶けるとき、とっても痛みます。
これは知覚担当の神経が復活した証拠ですね。
このレベルの凍傷になってしまったら、
病院にかかった方がいいですよ。
この先に待っているのは、壊死と壊死部切断です。
…さらりと怖いことを言ってしまいましたが、
こうなる前に、予防しましょう。
寒さはもちろん、血行不良も防ぐ必要がありますね。
圧迫されると血管がつぶされて血液の流れが悪くなりますから、
きつい服・靴下等は危険ですね。
もちろん、
糖尿病等の血管に悪影響を及ぼす病気の人は最初から要注意!
寒さは純粋な気温以外にも、
「風で熱が奪われること」も対策が必要。
風を遮る防寒具の使用や、
汗等でぬれた状態にしない
(水分があると、蒸発時に熱が奪われる)ことも大事です。
次回は、もう少しマイルド(?)な「冷たい!」として
しもやけについておはなししますね。