2 ケース2:手術は成功したけれど(1)
法律のおはなし、2ケース目です。
まずは事件を見ていきましょう。
(事件紹介ここから)
Aは病院の手術室に勤務する看護師。
この道20年の大ベテランで、手術に使う電気メスの事前準備の担当でした。
電気メスとは、高い電圧をメスにかけて、
ヒトの体の抵抗で熱が出ることを利用して、
切開と止血を同時に行う医療機器のことです。
ある日、2歳の子供の心臓手術があり、
Aが準備した電気メスを使用して、医師Bが執刀し、無事に手術は成功しました。
でも、電気メスのケーブルがプラスマイナス逆につながれて、
しかもヒューズ等の安全装置もついていなかったために、
患児につけた対極板に高温が生じて、重度の火傷を負わせてしまいました。
最終的に、
対極板をつけていた右足下腿を切断することになりました。
(事件紹介ここまで)
これまた、実際にあった事件です。
病気は治ったけど、友達と走り回ることはできない…
元気になった子供には、あまりにもつらい事件ですね。
今回のおはなしは「賠償して!」ではありません。
お金では解決できない、刑事のおはなしです。
イメージは「刑務所に入ってもらうぞ!」ですね。
…刑務所に入るとどうなるか。
一般社会から、ある程度隔離されてしまいます。
テレビ、ネット、友人との楽しいおしゃべりとはしばしの別れです。
加えて規律正しい集団行動。
朝は点呼と体操、就寝時間も決まっていて…
自堕落なぐうたら生活は夢のまた夢です。
ちっとも、いいことありませんね。
じゃあ、刑事で「アウト!」にならないために、
どんなことに気を付けなくてはいけないのか。
具体例を見ながら、確認していきましょう。
ケース2には、2人の医療従事者が出てきます。
電気メスを準備したAと、電気メスを使ったBです。
結論だけ先にお伝えすると…。
Aはアウト。
Bはセーフでしたが…極めて例外的なセーフです。
結論自体はなんとなく納得できるものですね。
でも、そこに至るまでの判断はちょっと説明が必要になります。
次回、Aから説明していきますからね。