12 各論6:細菌(4)細菌の特殊組(1)
A マイコプラズマ
マイコプラズマは、細菌なのに細胞壁がありません。
そのせいで体(菌体)を大きくできず、
ろ過器の種類によっては通り抜けられてしまうほどの
極小菌がマイコプラズマです。
広く、どこにでも存在しています。
「ヒトの粘膜を調べたら、たいていいる」ぐらいのイメージですね。
その中でヒトに悪さをしてしまうのは、
流行性のある「肺炎マイコプラズマ」。
よく(一般的に)使われる抗生物質はあまり効かないので、
「異型肺炎」と呼ばれることもあります。
マイコプラズマとさえ分かれば効く薬はありますので、
むやみに怖がる必要はありませんからね。
B リケッチア
リケッチアグループは、動物細胞の中でしか増えることができません。
「人工的に培地で育てようとしてもうまくいかない…」ことを、
「偏性細胞内寄生細菌」ともいいますね。
そして節足動物(ダニやシラミ等)に共生もしくは寄生しています。
これら介在生物をシャットアウトできれば、
リケッチアに入り込まれずに済みますよ。
リケッチアグループに含まれるのはリケッチア属とオリエンチア属。
リケッチア属には発疹チフスリケッチアと、
紅斑熱群リケッチアがいます。
発疹チフスリケッチアはシラミを介在生物として、
シラミの糞から感染します。
医療職は患者さんのケア等を介して
ほこり(シラミの糞)を吸入してしまうことが多く、
それ以外の人はシラミの噛み傷のかゆみ
(掻いて糞をすり込んでしまう)による感染が多くなりがちです。
10日ほどの潜伏期を経て、悪寒・高熱、頭痛・腰痛が出てきます。
その翌日~5日ほどで、バラ色から赤色の発疹が出てきますよ。
薬を使いつつ、各種環境(衣・住)も整えることが大事になりますね。
紅斑熱「群」リケッチアとあるように、
複数の原因菌がここに含まれます。
マダニが介在生物であることと、
日本紅斑熱リケッチアが日本紅斑熱の原因であることを
覚えておきましょうね。
オリエンチア属の代表は、つつがむし病オリエンチア。
介在生物は、つつが虫ですね。
日本に結構多く、東北地方(主に日本海側)の風土病とされていました。
10日ほどの潜伏期の後、高熱、頭痛・関節痛が出てきます。
その後に赤い斑点(発疹)やリンパ節の腫れ、
腹部と会陰部のやわらかい皮膚に
カサカサ(痂皮)付きの円形潰瘍が出来ますよ。
予防は何といってもつつが虫に吸い付かれないこと。
効く薬はありますが…判断が遅れたために命を落とした例もあります。
だからこれも予防第一!
もしや…というときにはつつが虫に吸い付かれる可能性のある行動
(山や野原に行ったか)の有無をちゃんと聞きとってくださいね。