10 各論5:体温(感染・免疫):②細菌に効く薬(9)

細菌に効く薬ですが、今までおはなしできなかったものに

キノロン系(ニューキノロン系)があります。

「抗生物質」は、生物の中で作られるもの

(それをもとに人工的に作ったものも含まれます)。

ここでおはなしするキノロン系は、生物由来ではありません。

 

キノロン系はDNAをコイル状にヒストンに巻き付ける

酵素(DNAギラーゼ)を邪魔します。

邪魔された細胞はうまくDNAを複製できず、細胞分裂できません。

だから悪性腫瘍(無制限に増え続けるがん化した細胞)に

対する化学療法剤としても使われますね。

 

例えばノルフロキサシン。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00057076

サルモネラ菌や肺炎球菌をはじめ多くの菌に使われます。

 

妊娠・妊娠可能性のある人に対しては、安全性未確立ゆえに禁忌ですが…。

特殊な細菌(炭疽菌や野兎病菌)に対しては、例外的に使うこともありますよ。

乳汁移行も未確立ゆえ、禁忌です。

 

そして非ステロイド系の抗炎症薬の一部

(フェンブルフェン等)を使っている人にも禁忌です。

ノルフロキサシンにはGABA受容体への結合阻害作用があります。

それが非ステロイド系抗炎症薬のせいで増強されて、

けいれんを起こす可能性があるからです。

 

GABAというのは、ガンマアミノ酪酸のこと。

神経伝達物質の一群(モノアミン)に含まれる、「タンパク質からできるもの」です。

神経の過度な興奮を抑える担当で、リラックス効果に関係しています。

そんなGABAが結合阻害を受けて受容体にはまれないと、

神経がピリピリ興奮モード。

そこで過剰(異常)な電気発生がおきてしまうと、「けいれん」ですね。

 

慎重投与対象は高齢者、高度腎障害のある人。

てんかん等のけいれん性疾患や重症筋無力症の人。

大動脈瘤や解離のある人(や過去にあった人、ハイリスク因子の人)です。

大動脈瘤・解離に関係する対象が広いことに注意。

ノルフロキサシンには神経筋伝達遮断作用があるので、

重症筋無力症は悪化してしまう恐れがありますよ。

 

併用注意は…やはり多いですね。

非ステロイド系の抗炎症薬の一部をはじめ、

気管支拡張薬のテオフィリンや抗凝固薬のワーファリンも入っています。

あと、金属イオンを含む薬(鉄剤やアルミニウムを含む薬)は、

ノルフロキサシンの吸収が邪魔されてしまいます。

金属がイオンになったものが、ノルフロキサシンを挟み込んでしまうからです。

この「金属イオンが何かを挟み込んだもの」を、キレートと呼びます。

キレートの語源になったラテン語の「カニのはさみ」をイメージしてくださいね。

 

細菌に効く薬、一段落。

次回から原虫に効く薬に入ります。