14 各論8:ウイルス(2)RNAウイルス(3)

D ピコルナウイルス科

ピコルナウイルス科は「小さい(pico)」の名が付いたウイルスたち。

1本のRNAで、エンベロープのない、正二十面体をしています。

中はさらにグループ分けされていて、

ヒトに関係するのは主にエンテロウイルス属とヘパトウイルス属。

なお家畜に悪さをする口蹄疫ウイルスは、

ピコルナウイルス科のアフトウイルス属です。

肝炎ウイルスのいるヘパトウイルス属を先に、

後からエンテロウイルス属についておはなししますね。

 

(A)ヘパトウイルス属

経口感染をするもう1つの肝炎ウイルスがA型肝炎ウイルス。

飲食物からの経口感染で、腸管上皮から肝臓へと入ります。

小児期の感染だと不顕性感染になりますよ。

肝臓でA型肝炎ウイルスが増えて、

胆汁と一緒に腸管内へと排出されてきます。

あとは体外に便として排出…ですね。

便が飲食物に入らないければ

A型肝炎ウイルスは流行せずに済みますから、

A型肝炎ウイルスの流行は

上下水道といった衛生状態を反映することになります。

A型肝炎ウイルスに有効な治療法はありませんが、

ワクチンで予防することができます。

海外旅行時には事前にワクチン接種。

そして生水や生食は避けてくださいね。

 

(B)エンテロウイルス属

ここに含まれるウイルスの代表は、

ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、ライノウイルス。

特にコクサッキーウイルスはタイプがたくさんあるため、

引き起こす病気の種類も多いですよ。

 

(a)ポリオウイルス

ポリオウイルスは急性灰白髄炎(ポリオ)の原因ウイルス。

感染者の糞便に出たウイルスが、飲食物を経て体内に入ります。

咽頭や小腸で増えて、血液にも侵入。

血液にのって脊髄の前角(運動神経)に感染すると、

神経細胞を破壊してしまいます。

神経からの命令が届かなくなって弛緩性の麻痺が生じる…

これが急性灰白髄炎です。

多くは、症状のない不顕性感染。

弛緩性麻痺が起こるのは感染者のごく一部(0.1%ほど)とされています。

麻痺が発症してしまうと有効な治療法はありません。

でも、ワクチンで予防することならできます。

以前は生ワクチン一択でした。

でもポリオ発生の減少と、

生きているウイルスが病原性を再度発生させることで起こる麻痺

(ワクチン関連麻痺)の問題から、

日本では2012年以降不活化ワクチン接種になっています。

世界レベルでは南アジア等で流行が起こることのある、

感染症法2類感染症です。

 

(b)コクサッキーウイルス

ここは含まれるタイプ(血清型)が多いので、

どうしても複数の病気の原因になります。

胃酸には強く、腸管上皮に感染して増殖。

血液中にウイルスが流れ出し始めると全身に感染が広がります。

多くは不顕性感染で済みますが、

症状が出てしまうと多くの場合、上気道炎が出てきます。

子どもに多いヘルパンギーナ、手足口病、

無菌性髄膜炎、急性出血性結膜炎の原因です。

 

ヘルパンギーナはかぜ様の全身症状に、

軟口蓋を中心とした水疱と潰瘍が出来るもの。

「あーん」と口を開けて、ちょうど見えるところに水疱と潰瘍です。

特に1歳から4歳の小児によく起こりますね。

 

手足口病も「かぜ様症状+口の中に水疱と潰瘍」ですが、

手のひらと足の裏にも発疹が出てきます。

いつも手・足・口の3か所に出来るとは限りませんので、

そこだけは注意ですね。

 

無菌性髄膜炎は頭痛と発熱に、

髄膜刺激症状(頚部硬直等)が出てきます。

「髄液から細菌が出てこない(…原因が、ウイルスだから)」ことが、

そのまま病名になっています。

 

急性出血性結膜炎は目に異物感と痛みが出て、

結膜が充血や出血で真っ赤になるもの。

かぜ様症状も一緒に出てくる可能性がありますからね。

 

(c)ライノウイルス

かぜ症候群の中で、一番原因になりやすいのがライノウイルスです。

くしゃみ、鼻水(鼻汁)、鼻づまり(鼻閉)といった

鼻かぜ症状の原因ですね。

実はコクサッキーウイルス以上のタイプ数があります。

「いつまでも治らない鼻かぜ」は、

もしかしたら別のタイプのライノウイルスに

連続してかかっているせいかもしれません。