4 薬に共通するおはなし(3):薬の働き(4)

血液中にある酵素を邪魔する薬として、

アスピリンを紹介しますね。

アスピリンは消炎鎮痛剤であり、血栓を防ぐ薬でもあります。

 

止血のしくみ、思い出してみましょう。

血小板だけでは、血は止まりません。

血を止めるためには、

血小板をフィブリンでからめとることが必要です。

フィブリンはたくさんある血液凝固因子が

正しい順番に組みあがってできた完成品。

その途中にはカルシウム(イオン)が必要で、

血液凝固因子の表面加工にはビタミンKが必要になってきます。

 

では、部品(血液凝固因子)が完成品(フィブリン)になる

「きっかけ」は何か。

それは血管内皮の傷を見つけた血小板が、

仲間を呼び集めるために出す「凝集誘発物質」です。

凝集誘発物質の1つは、トロンボキサンという炎症物質。

このトロンボキサンができないようにするのが、

アスピリンの働きです。

 

トロンボキサンの名前は、

生化学のアラキドン酸カスケードのところで出てきました。

アラキドン酸からできる炎症物質と、

そこに働く酵素のおはなしでしたね。

アラキドン酸からトロンボキサンを作る

シクロオキシゲナーゼという酵素を邪魔すれば、

トロンボキサンはできません。

トロンボキサンができなければ、炎症反応は促進されません。

血液凝固因子が完成品になるためのきっかけもありませんから、

血栓(のもとになるかさぶた)もできないわけです。

 

血栓を防ぐお薬を

「血液凝固のどこに働くか」に注目して確認してみましょう。

本来は各論の循環器系で出てくるおはなしですが、

今まで出てきたお薬だけは簡単に見ておきますよ。

 

ついさっき確認したアスピリンは、

炎症物質かつ血小板集合・血液凝固因子組み立て号令となる

トロンボキサンを作る酵素(シクロオキシゲナーゼ)を邪魔。

「血小板凝集阻害」や「抗凝集剤」と呼ばれることもありますね。

 

ワーファリンは、

血液凝固因子の表面加工をするビタミンKと似た形で、

加工担当の酵素を邪魔。

だから、完成済みの血液凝固因子には効きません。

普段から飲んで、

長期的に血液凝固因子がフィブリンを作りにくくするお薬です。

 

ヘパリンというのは、

完成品一歩手前(フィブリノーゲン)から

完成品(フィブリン)を作るトロンビンという酵素を邪魔するお薬。

 

かさぶたができた後に線溶(フィブリンを切る)のきっかけとなる

プラスミノーゲンアクチベータを体に入れることは、

「血栓を防ぐ」ではなく「血栓を治療する」お薬ですね。

ウロキナーゼはここに入ります。

 

次回は受動輸送と細胞内の薬の働きをつなぐおはなし、

「催奇形性」についておはなしします。