12 末梢神経のおはなし(2)聴覚・触覚と皮膚(前半)(3)

(2)メニエール病、前庭神経炎

平衡感覚が「変!」になる例として、

メニエール病と前庭神経炎があります。

メニエール病は難聴・耳鳴りを伴って

数分から数時間持続する反復めまい発作。

めまいは吐気・嘔吐を伴うことが多く、

難聴は可逆性・低音域メインの

感音難聴で始まります。

進行すると、中・高音も聞こえない

不可逆性感音難聴になりますよ。

原因は不明ですが、誘因となるものは

過労・睡眠不足・強い精神的ストレスです。

急性時には抗不安薬、制吐剤の薬物療法になります。

 

ただし、頭痛や手足のしびれ、

構音障害や意識障害が出たら

中枢の「変!」が疑われますので、すぐに病院へ!

それ以外ならば、発作時には安静に。

横になって、強い光や音を避けて、

頭をあまり動かさないようにしましょう。

減塩をして、水分は多すぎず少なすぎず。

慢性化してしまうこともありますよ。

 

前庭神経炎は、急に起き上がれないほどの

強い回転性のめまいが出て、数日続きます。

悪心・嘔吐はありますが、

耳(聴覚)には何も出ないのが特徴です。

だいたい1週間くらいで

歩行・食事可能なくらいに回復します。

それまでは入院して、

脱水防止のために補液を受けた方がいいですね。

めまいが治まったなら、

早期離床と運動療法(リハビリ)です。

頭痛、麻痺、知覚障害や構音障害、意識障害が出たら

小脳や脳幹梗塞の可能性があります。

そんなときには、すぐに病院ですよ。

2 触覚と皮膚の異常

感覚の最後は触覚と皮膚のおはなしです。

皮膚以外からも触覚情報は脳に伝わります。

粘膜の痛みや、関節の力のかかり具合も、

触覚情報ですからね。

でも、意識的に感じる触覚情報は

皮膚から届くものが多いですね。

だから皮膚の役目と構造を簡単にまとめたうえで、

皮膚の「変!」を見ていくことにしましょう。

皮膚の「変!」を確認していくと、

痛みやかゆみといった触覚情報についての

おはなしも出てきますからね。

 

(1)皮膚の基本理解

皮膚は私たちの外側表面を覆う上皮細胞。

内側表面は、粘膜にお任せしています。

ヒトの外側は暑いし、寒いし、

乾くし、ジメジメするし…結構過酷な環境。

ヒトの内部環境には、

一定の恒常性(ホメオスタシス)が必要です。

そのために血液はじめ体液があり、

代謝によって産熱して体温を保っていることは、

今まで勉強してきた通り。

ヒトの外側には各種病原体もいて、

過ごしやすそうな人の体内を狙っています。

そこで、最初の砦になってくれるのが皮膚なのです。

 

免疫の大原則は

「異物を体の中に入れないこと」。

そこで防壁となってくれる皮膚の表面は、

角質層に覆われています。

これは皮膚上皮細胞の最後の姿。

「細胞であったもの」なので、

もう核はなく、ぺったんこ。

垢としてはがれるまでの間、

異物が入り込まないような

硬い壁として役立っているのです。