12 末梢神経のおはなし(2)聴覚・触覚と皮膚(前半)(2)

「滲出性中耳炎」というものもあります。

急性感染症状も、鼓膜の穿孔もないのに、

中耳腔内に貯留液が存在する

中耳炎をまとめた呼び名です。

鼻と耳をつなぐ耳管が狭くなり、

閉じ込められた空気内の

酸素・二酸化炭素・窒素等が血液に溶け込んでいくと、

中耳腔内が陰圧になってしまいます。

その圧力に引っ張られて、

毛細血管から中耳腔内に

液体がしみ出てしまった(滲出)…という意味ですね。

 

耳管が狭窄してしまう原因には、

急性中耳炎等による粘膜の腫脹の他に、

嚥下時に耳管を開く機能の障害

(口蓋裂等による耳管機能障害)や、

上咽頭部のがんもありえますね。

 

中耳腔内に液体が出てきたせいで、

耳の圧迫感・耳閉感と共に

軽度から中度の伝音難聴が起こります。

音を伝える(伝音)ところが原因の難聴なので、

伝音性難聴。

外耳と中耳がおかしいときには、

伝音(性)難聴です。

軽症なら、耳管狭窄原因を治療しつつ、

炎症を抑える薬物療法。

それ以外なら鼓膜切開をして、

液体を外に出してしまいます。

放置すると鼓膜は数日でふさがってしまいますので、

もっと水抜きが必要なら

ドレーンチューブを入れることになりますね。

もちろん耳に水が外から入り込まないように

注意が必要ですよ!

 

音を電気信号に変えるところが「変!」になると、

音が脳に届かず難聴になります。

感音(性)難聴ですね。

例えば、音楽をずっとヘッドホンやイヤホンで聞いていると、

途中で何だか音の聞こえが変になってきます。

これ、急性感音難聴。

自然治癒するのが大部分ですが、

治らないこともあります。

いくら音楽に集中したくても、

ヘッドホンやイヤホンの長時間使用は危険です。

 

同様に音(音響)のせいで起こるものをまとめて、

音響性聴覚障害と呼んでいます。

音を電気信号に変える蝸牛の有毛細胞に

音が直接障害を与えたり、

周囲の血管をけいれん(攣縮)させて

虚血状態にしたりするのが原因です。

先に説明したヘッドホン難聴

(ロック難聴、ディスコ難聴とも呼ばれる)の他に、

耳鳴りが出て回復困難な騒音性難聴、

花火等の爆音による音響外傷等もあります。

ステロイドの内服が行われますが、

治りにくい(治らない)こともあることを

覚えておいてくださいね。

 

原因不明の難聴が、突発性難聴。

耳疾患の既往なしに、突然出現する、

原因不明の高度感音難聴の総称です。

原因不明なのですが、

最初はステロイド療法がとられることが多いですね。

もし感染が原因になっているのなら

炎症を抑えることができますし、

循環が障害されているなら

蝸牛の血流増加も期待できるからです。

ただし、ステロイド療法の前に、

ステロイドによって悪化・再燃可能性のある

病気の存在を確認しておきましょう。

胃・十二指腸潰瘍、緑内障、結核、

高血圧、糖尿病などに要注意です。