6 筋骨格系のおはなし(6)
筋肉のおはなし一段落。
骨のおはなしに入ります。
骨の基本構造は骨膜・骨質・骨髄です。
「白くてかたい!」イメージ通りの骨は、骨質。
その外側(骨膜)と内側(骨髄)は、
骨のイメージとはだいぶ異なりますよ。
外側の骨膜には神経があり、主に成長するのはこの部分です。
成長期には分厚い膜ですが、
成長期が終わると薄い膜に変わってしまいます。
骨質は白くて硬く、
ここにカルシウム等のミネラルが貯蔵されます。
ここに神経はないため、骨折した後に金属等のプレート固定が可能になります。
骨折の痛みは、骨膜の痛みですからね。
骨質の内側にあるのが骨髄。
白い骨の中にある、血球を作る赤い部分です。
造血幹細胞はここで生まれて、各種血球に分化していきます。
リンパ球の1つ、
B細胞の成熟場所「骨髄(Bone Marrow)」でもありますね。
血球については、生化学「12 血液」へ。
でも、成人では「骨髄が赤い骨(赤色骨髄)」はそう多くありません。
もう血球をたくさん作らなくても大丈夫…と
多くの骨髄では次第に黄色い脂肪で埋まっていきます。
この脂肪が詰まった骨髄が「脂肪骨髄(黄色骨髄)」。
大きな骨が折れたときに怖い脂肪塞栓が生じる原因です。
いい機会なので、「塞栓」の説明。
塞栓というのは、何か塊が流れてきて詰まった状態です。
脂肪が流れてきたら脂肪塞栓。
空気の塊が流れてきたら空気塞栓。
細菌の塊が流れてきたら細菌塞栓です。
特に、血液の塊(かさぶた:血液凝集したもの)
だったときは「血栓」です。
これに対して、
「梗塞」というのは、何らかの原因で細胞が死んでしまったもの。
主に細胞が死んでしまった場所の名前が付きますね。
脳で細胞が死んでしまったら脳梗塞。
心臓で細胞が死んでしまったら心筋梗塞です。
梗塞は原因を問わずに、
「細胞が死んでしまった」結果を重視します。
原因は塞栓で血液が細胞に届かなくなったせいかもしれませんし、
他の原因かもしれません。
状態を見ているのが塞栓、結果を見ているのが梗塞ですよ。
骨(骨質)の主成分はコラーゲン、カルシウム、リンです。
コラーゲンはタンパク質。
くるくる巻いたらせん状のコラーゲンの隙間に、
水やカルシウム、リンがたまっていきます。
倉庫がコラーゲン、
倉庫に貯めていくものがカルシウムやリン(リン酸)ですね。
リン酸の形になって
カルシウムと手をつないだものの例が「ヒドロキシアパタイト」。
歯の主成分と同じです。
この倉庫は、一度作ったら終わりではありません。
倉庫補修…それが次回おはなしする「骨代謝」です。
【今回の内容が関係するところ】(以下20221011更新)