12 末梢神経のおはなし(3)触覚と皮膚(後半)(4)
水痘とは水ぼうそうのこと。
水痘・帯状疱疹ウイルスによる、
接触・空気感染です。
感染力が強く、長引くことが特徴。
感染後2週間くらいで、
直径3~4mmほどの紅斑や紅色丘疹が出て、
かゆみのあと中心が凹んだ水疱が出てきます。
四肢だけでなく、
顔や口腔内、頭部にもできるのが特徴です。
その後1週間くらいで痂皮化しますが…
発疹ができてから痂皮化するまでが
全部感染力のある状態です。
解熱剤や止痒剤といった対症療法になります。
感染力が強いので個室に入ることになりますから、
個室ゆえのメンタルケアが必要になってきますね。
以前は小学校卒業までに感染して
免疫を得ることが大多数でした。
幸か不幸か家族構成を含めた環境変化のせいで
感染の機会が減った近年では、
成人の初回発症が増えてきました。
成人発症では肝炎、肺炎、
中枢神経症状の合併が多くなり、危険です。
また、妊娠5週から20週で発症すると
「先天性水痘症候群」が出る可能性もあります。
全ての胎児に起こるものではありませんが、
白内障等の眼症状、大脳萎縮、
四肢骨欠損等が生じる可能性があります。
妊娠を希望する女性は、
事前の抗体チェックと、ワクチンをお忘れなく。
水痘の後、ウイルスが体に残ってしまうと
帯状疱疹の可能性もあります。
帯状疱疹は、
水痘感染後ウイルスが知覚神経細胞内に潜伏し、
何かのきっかけで再活性化して発症するものです。
発症する数日前から知覚異常や神経痛があり、
浮腫性の紅斑が出てきます。
そこに水疱が出て、痂皮化して…
10日くらいでピークになり、
3~4週間で軽快します。
出現から軽快までの流れが、
かなり単純ヘルペスウイルスのときと似ていますね。
帯状疱疹の特徴は、神経に一致して帯状に出ること。
きれいに整列しているので、すぐに分かるはずです。
抗ウイルス薬だけでなく、
軽快後も数か月残る痛みのためにNSAIDsも使われます。
シャワー浴で清潔を保ちつつ、
できるだけ安静にしましょう。
加齢等による免疫低下だけではなく、
過労や局所刺激でも再発しますから、要注意!