2 脈拍・血圧のおはなし(1)心臓3:心電図異常(2)

2020年3月27日

近道とは逆に、

正規ルートが伝わらなくなってしまったものが房室ブロック。

心房の収縮まではうまくいきますが、

それに合った心室の収縮が起こりません。

軽度から中度(Ⅰ型、Ⅱ型ウェーバー型)なら、

「ん?少し伝達遅れてる?」くらいで済みます。

正常な人でも夜間副交感神経系優位の夜間に起こりうるぐらいの、

わずかな遅れです。

中度から重度(Ⅱ型モビット2型、Ⅲ型)だと、

P波とQRSが別の動きになってしまいます。

心室にあまり血液がないのに収縮したのでは、

無駄ですし、全身にうまく血液を送れませんね。

心室に対してちょうどいいタイミングの収縮命令を送るための、

ペースメーカーが必要になりそうです。

たまたま心房と心室がちょうどいいタイミングで収縮すると、

そのときだけ心拍出量が正常に戻り、

大きな心音(キャノンサウンド)が聞こえます。

 

電気刺激を作る出発地点が変になると、洞機能不全。

洞不全症候群はその中でも重症です。

虚血等により洞房結節からの電気発生が1分間に50回を切ってしまいます。

…電気が出ませんから、P波がありませんね。

P波がないと、QRSの収縮命令も届きません。

つまり、心室に対する収縮命令が規則正しく届きませんから…

血液を十分に全身に送れなくなってしまいます。

めまい、ふらつき、動悸が出て…

ひどくなると失神や錯乱状態に陥ります。

ペースメーカーを入れて、

規則正しい電気刺激を出してもらう必要がありそうです。

 

同じくP波が出ないものに心房細動があります。

P波のような分かりやすい波が出ず、

基準になる線がプルプル震えるf波が出ています。

実は、これが一番出会う確率の高い異常心電図です。

正しくP波ができていれば、120~130回/分くらいの心拍になります。

少し早めですが…

血液はちゃんと全身に送れるくらいの拍動ですから、

「即生命危険!」という心電図ではありません。

大事なのは、基礎になる心疾患に対する理解と、

「甲状腺機能亢進症でも出うる!」ということです。

甲状腺は代謝の現場監督で、心拍数に影響を及ぼす

トリヨードチロニン(T3)やチロキシン(T4)が出ていましたね。

あと、心房が「細動(プルプル)」ですから、

塞栓予防のワーファリン、アスピリンも必要そうですね。

 

心房細動に似た言葉に「心房粗動」があります。

心房の収縮だけをみれば、

300回/分という猛スピードで動いています。

心電図の基準線は、P波の多すぎでのこぎり型になってしまい、

平らなところがありません。

心室には2回に1回のペースで電気が伝わり、

脈としては150回/分くらいになります。

これでも、十分頻脈ですね。