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3 脈拍・血圧のおはなし(2):血管(ショック1)

4 ショック

心臓と血管のおはなしの各所に

「ショック」という言葉が出てきました。

ショックは、意外と広い概念です。

ここで整理しておくことにしましょう。

 

ショックは、急性の全身循環障害です。

血液が届かなくなった細胞は、酸素と栄養が不足します。

当然、ATP作り(代謝)が障害されますね。

その結果が、四肢の冷感、尿減少、精神異常になって現れます。

 

原因は4つに大別できます。

「1、循環血液量減少性ショック」、「2、心原性ショック」、

「3、閉塞性ショック」、「4、血液分布異常ショック」です。

 

「1、循環血液量減少性ショック」は、

出血、火傷等の血漿喪失、脱水等の電解質喪失等によって、

循環血液量が減ってしまったことで起きるショック。

血液だけでなく、

血漿や電解質(ミネラル)喪失でも起こることに注意です。

出血の場合、全身循環量の何%を失ったかで症状が変わってきます。

約15%がなくなると、脈圧が下がってきます。

その血圧では血液が届かない細胞が出始めて、

四肢冷感や冷や汗スタート。

「それはまずい!」と回数でカバーするべく、

頻脈・呼吸数増加も始まります。

約20%がなくなると、本格的なショック状態に。

対処が間に合わずに約30%がなくなってしまうと…!

もう中枢部にすら血液(酸素と栄養物)が届きません。

脳は意識障害、心臓は心拍微弱・収縮期血圧低下、腎臓は尿量減少です。

明らかに「ヤバい!」ですね。

 

「2、心原性ショック」は、

心臓のポンプ機能が低下したせいで起こるもの。

心臓のところで確認した不整脈・心不全によるショックはここに入ります。

 

「3、閉塞性ショック」は、血管等の閉塞により起こるもの。

血管が詰まる塞栓だけでなく、

呼吸不全から起こる肺高血圧症でも起きますね。

 

「肺高血圧…心不全…あれ?分類変わっちゃった?」と

びっくりしないでくださいね。

「2、心原性」と「3、閉塞性」は結構重なります。

実際、心臓の働きが悪くなる心タンポナーデは、

どちらに区分されてもおかしくありません。